天界の中で
「ちっイライラするね!!」
そう呟きながら、急遽作られた世界を見渡す・・・何で私がこんな事を・・・・
「何をそんなにイライラしている、カニル、絶対神様から直々に指令を受けたと言うのに・・・」
そう言ってくるのは、私と同じ下級神、名を確か・・・・・きちんと覚えていないがダカルって名前だったはずだ・・・まあ、そんな事はどうでも良い、今は、周りが戦争をして戦果を挙げていると言うのに、ただ、見張りをしていなければいけないという事実だ・・・・
何でも、別世界の神の世界に我ら絶対神の世界を作り出したのだが、何故このような事をするのか、皆目見当もつかない・・・絶対神様を疑いたくは無いが、何故このような無駄な事をと考えてしまう・・・この様な無駄な事をせず、さっさと、あの愚図な神共を殺せばそれで解決するはずなのに・・・
自分は何故こんな所に居るのか・・・ぞんな事を考えてしまう・・・きっかけは、あの世界に降り立った出来事から始まった・・・・気に食わない魔族共を殺し、人間達の感情を絶対神様に捧げようとした結果・・・奴隷であるはずの魔族と人間のハーフに邪魔をされてしまった・・・結果、絶対神様の結集に送れ、その責からこの様な雑用を割り当てられてしまった・・・・
そうだ、あの奴隷が悪い・・・さっさと殺されればいいものを無駄な抵抗をしてきやがって・・・・
「・・・カニル!!」
同僚の声に気が戻る・・・・さすがに、同僚の居る所で考える事では無かったか・・・
「何だか、怖い顔をしていたが、大丈夫か・・・?」
「ああ、大丈夫だ・・・」
とにかく、心中を探られない様に、そう答える・・・この指令に不満がある等、絶対神様にバレたくは無かった・・・・例え、雑用だとしても、直々の指令なのだから・・・・
「そうか、自分は離れるが、絶対神様の指令きちんと果たしてみせるのだぞ・・・」
「・・・ああ、解っている・・・」
言われなくとも、ここの守護はしてみせる、まあ、前線からかなり離れているここに来る敵は来ないと思うがな・・・ここにたどり着くのなら、絶対神様に向かって言った方が近い位、この場所は闘いの場所から離れていた・・・
同僚が居なくなったのを見届けた後溜息をつく・・・この魔界と言う世界、何故作られたんだ・・・向こうの世界を壊すにしても、もっと簡単な別の方法があっただろうに・・・
そんな事を考えている内に変化が起きた・・・・魔界と敵側の神の世界が繋がったのだ・・・あり得ない・・・それが最初に思った事だ・・・魔界を管理する上で魔界の状況、ルールを絶対神から教えてもらっていたが、今世界は神の世界とつながる事が出来ない様に管理していると仰っていた・・・
例え、神が強引に降臨しようとしても魔界で降臨する事は絶対出来ないはず、敵の自らの世界すら降臨する事は出来ないはずだ・・・・それが、どうして・・・そんな事を考えている内に、神が魔界に降臨するのを感じた・・・・これは、肉体では無く、精神だけの降臨?だとしても、不可能・・・・
そんな考察を考えていたが、その精神を探った時、その考察全てが吹き飛んだ・・・!!
・・・これは!!あの時の魔族と人間のハーフ!!何故ここに!!いや!!そんな事はどうでも良い!!見つけた!!!
この時、彼女の頭の中にあったのは、自らの計画を台無しにした、クズをいかにぶち殺せるか・・・それだけだった・・・・
(・・・本来なら、絶対神様に報告しなければいけない事柄だが、恐らく報告すれば、自らの手で鉄槌を下す事は出来なくなる!!!)
彼女にとって彼は、自らのプライドを砕いた憎むべき相手・・・相手に判断を委ねる等、あってはならなかった・・・・
(だとしたら、どうする?神の世界と魔界の繋がりは、絶対神様以外作れない・・・そう言えば、この魔界の中軸になっている魔王、神と同じ力を持っていたな・・・それを贄に自信を降臨できないか・・・?)
その思いは、次第に膨れ上がり、彼女は自身の降臨を決めた・・・それが、例え絶対神様の意向に歯向かう事に繋がるという事を気づかない・・・それ程までに彼女は彼に執着していたのだ・・・恋人が思い人を思う様な・・・いやそれ以上の感情が彼女を支配していた・・・・例えそれが負の感情だとしても・・・
「絶対、殺してやる!!」
彼女は顔を歪ませながらそう言った・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――
「これは・・・」
自らの部下に指示を出し終え、部屋に戻った時、それは気が付いた・・・・魔界に神が降りてきている・・・?しかも、この感じは・・・我らの怨敵である、偽物の神!!
それにかが付いた我はすぐ様行動しようと、動こうとした・・・だが、
(何だ・・・これは・・・?)
すぐ様、頭が割れる様な痛みに襲われる・・・何故・・・?どうして・・・その痛みは段々と大きくなり、自らの意識すら奪っていく・・・・
「何が・・・?」
『その身体大事に使わせてもらうわね・・・?』
薄れいく意識の中で、美しい声が最後に聞こえた・・・・
――――――――――――――――――――――――――――――
「ああ・・・魔界に降りて行っちゃったの?悪い子ね・・・」
そう言いながら、彼女はグラスを傾ける・・・そこにある飲み物はこの世のものとは思えない程光り輝いている・・・しかし彼女はそれを意に介さず、すぐさま飲み干していく・・・
「でも・・・逆に計画をやりやすくなったかもね・・・これで・・・」
そう言いながら、微笑む・・・その顔は慈愛に満ちている様に見える・・・
「・・・全ては私の物よ・・・・世界も・・・力も・・・心も・・・・全て・・・」
そう呟きながら・・・彼女は笑った・・・玩具をいじって遊ぶ幼子の様な純粋な笑顔で・・・・・
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