ダールの矜持

あれから、何故か、ジュルと一緒に帰らなかった、笑いの神事ダールは・・・俺の部屋に我が物顔で入り、寝ていった・・・・そして・・・


「フハハハハ!!朝だぞ!!ルザーよ!!」


「うるさい!!」


何なんだよこいつ朝っぱからテンションが高いんだよ・・・・といより、俺名前名乗っていなかったよな・・・神だから知っていて当たり前か・・・・・本気で認めたくないけど!!


トントン・・・ドアがノックされた・・・


「あのう・・・何か大きな声が聞こえましたが、大丈夫でしょうか・・・?」


やばい!シスターが気が付いた!!というより、結界張ってんじゃないのかよ!!何で気づかれるんだ!!


「ああ、大丈夫だ・・・ちょっと、虫がいて驚いただけだ・・・」


「そうですか・・・駆除しましょうか?」


「いやいい・・・もう、自分で駆除した・・・騒がしくしてすまない・・・」


そう言って、シスターはドアから離れていった・・・・


「おい!結界張っているんじゃなかったのかよ!」(ボソボソ)


出来るだけ小声でそう言う・・・


「フハハハ・・・」


「高笑いするな!また気付かれる!」(ボソボソ)


「結界をしていたのはジュルだ!我はその結界魔法のやり方を知らん!!」


「威張るな!・・・・本当に昨日の夜中・・・誰にも会わずにすんで良かった・・・・」(ボソり)


結界を張っていなかったという事は、昨日の夜誰かに見られていてもおかしく無かったわけで・・・本当に運が良かった・・・・


「それで!これからどうする・・・」


「少し黙ってくれないか・・・頼むから・・・」


そんな願いも虚しく・・・ダールのハイテンションにそのまま付き合うのであった・・・・


あれから、俺はいつもの仕事をこなしていった・・・ちなみにダールは・・・今天井に張り付いている・・・あいつ、人が来そうになると、すぐにどこかに隠れる・・・その癖、他の人が居なくなると、すぐ出てくるし・・・・笑いの神じゃなくて隠密か何かじゃないのかあいつは・・・・・・・・・


そんな事を考えながら、お昼になる・・・食堂・・・は・・・行きたくないから、花の庭園でも行くか・・・幸い早起きしたおかげで昼は作ってあるしな・・・ダールと一緒に・・・・


何が悲しくて、変態と料理を作らねばならなかったのか・・・そんな事を考えながら、庭園を歩いていると、ルウェールが向こうから歩いて来た・・・・


「・・・ルウェール・・・」


「・・・・こんにちは・・・昨日はどうでしたか・・・?」


「ああ・・・大丈夫だった・・・・」


何が大丈夫なのか解らないが、ルウェールに心配をかけたくない一心でそう言った・・・そして・・・


「フハハハハハ!!何をしみったれな顔をしておる!!もっと笑え!!!」


「ああ!!もう!!今大事な話をするんだから!!少し黙っていろよ!!お前!!」


本当にこいつは・・・・


「大体!!お前自身!!自分が管理していた世界を壊されたんだろ!!そんなに笑っていていいのかよ!!」


「フハハハハ!!だからこそ笑っているのではないか!!」


「何を言って・・・」


「あいつらは最後・・・笑って死ぬことが出来なかった・・・助けたくとも、我は世界の干渉するのに制限を受け何も出来ず、ただ見ているだけだった・・・だから、私は最後まで笑って他の人が生きていける様に頑張るのだ!!」


その言葉に・・・一瞬言葉が詰まった・・・


「あいつらは・・・私の世界では本当に笑って過ごしていたのだ・・・だが、あいつらが・・・その笑顔を奪っていった・・・最後は今まで見たことが無い・・・いや・・・見たくもなかった・・・恐怖の顔をしていたよ・・・全員な・・・」


・・・・・・・・・この人・・・そこまで、思い詰めて・・・・


「だから、私は笑って笑わすのだ!!」


そう言って、ダールはどこから、音楽を流しだし、踊りだした!


「フレーフレー!ルザー!頑張れ!頑張れ!ルウェール!」


・・・前言撤回・・・やっぱこいつ何も考えてないや・・・


「おい!やめろ!!そんな大声で騒いだら・・・他の神殿の人達が・・・・」


・・・言い終わらない内に・・・周りから足音が聞こえ始める・・・・俺は、ルウェールの手を取り、庭園を後にする・・・・絶対後で泣かす!あいつを!!!


――――――――――――――――――――――――――


「ぜえ・・・ぜえ・・・ぜえ・・・・」


「はあ・・はあ・・・はあ・・・」


俺とルウェールは肩で息をしながら、神殿の外にいた・・・


「フハハハハ!!その位で息切れとは!軟弱だな!!お主達!!」


「お前の所為だろ!!お前の!!」


ああ!!もう!!どうしてこいつはさっきからしっちゃかめっちゃかに!!


「ふふ・・・」


そんな時に・・・ルウェールが笑い出した・・・


「どうした、ルウェール?」


ダールの所為で気がおかしくなったか?


「いいえ・・・ルザーのそんな感情を表に出すのを久しぶりに見て・・・嬉しくなって・・・ルジャが引きこもってから、ずっと思い詰めた表情をしていたから・・・・」


そう言われて・・・思い出す・・・ああ・・・確かにずっと、ルジャをどうすればいいのか解らず・・・ずっと途方に暮れていた・・・・心配をかけていたんだな・・・


「・・・すまない・・・」


「いいえ・・・元気になってくれればそれで充分です・・・」


・・・・・はあ・・・結局・・・ダールにしてやられたのか・・これは・・・


ダールを見ると相変わらず・・・男がしてはいけないポーズで固まりウィンクしている・・・うん、絶対あいつにお礼何て言わねえ!!

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