葛藤

「・・・・・・・・本当に神様なんですか・・・?」


・・・・・無表情に女性は頷く・・・そう言えば、さっき、爆発させた時も表情ほとんど変化無かったよな・・・この人は・・・・だけど・・・だからこそ・・・もう一人がどうしても、目立ってしまう・・・・


「あれが・・・?」


いつの間にか踊り出している、変態を指さして見て、そう言う・・・・なあ・・・本当にあれが神様なのか・・・嘘だと言ってくれ!!


「・・・・・信じられないかもしれんが・・・そうだ・・・」


なあ・・・俺、神への信仰辞めてもいい?


「ちなみに、神という証拠は・・・」


「これでいいか・・・」


そう言って、知識の神といった彼女は体を光らせた・・・この感じ神々しさ、ルジャが神卸をしたのと同じ力を感じる・・・


「すまないが、この世界で余り力を出すと魔界の者達に勘づかれる可能性があるのでな・・・だが、これで、納得してもらえたかな・・・?」


「・・・ああ、少なくても、普通の人間では無いという事は納得した・・・」


巫女である可能性もあるが、ルジャ自身神卸をして神託を受け取る事しか出来なかった現状、巫女である可能性は低い・・・・というなれば、神であるというのが一番高い可能性だろう・・・


「すぐに納得してくれてこちらとしても、助かる。それで、真面目な話をしたいのだが、勇者の所に案内してくれないか?」


そう、知識の神と名乗った女性はそう言った・・・・


「・・・・・・・どうしてもですか・・・?」


「うむ?旅たちの前に一度、勇者と会っておかなければいけないと思ってな・・・こうして、人目を忍んで、お主達、勇者の護衛予定のお主達に会いに来たのだが・・・・」


「どうしても、勇者を・・・ルジャを旅立たせなければいけないんですか!!」


「・・・・・・・・・・解っておると思うが、お主達が、旅立たなければ、この世界所か、別の世界を含め全てが消滅する・・・・」


「別な世界・・・?」


「ああ・・・パラレルワールドともいうが、簡単に言えば、この世界とは違うもしかしたらの世界、異世界とも言っていいか・・・・そこには、魔法が無い世界、機械という物が発達した世界、逆に文明が発達しなかった世界、様々な世界がある・・・・」


色々言われているが、俺には何が何だか解らなかった・・・パラレルワールド?もしかしたらの世界?魔法が無い世界?ただ・・・それでも・・・・


「そう言った世界全てお前達が動かなければが消滅する・・・」


俺達に選択権は無いという事だけは解った・・・・


「もう他の世界はいくつか消滅させられた所もあるのだ・・・・どちらにせよ、お主達が動かなければ、勇者・・・神卸の巫女も含め全員死ぬだろう・・・・」


「・・・・・・・・・・他の人達に託せばいいだろう・・・他にも世界があるんだろう・・・だったらルジャ以上の巫女だって・・・・」


「そういった能力が高い奴は優先的に殺された・・・・魔物の襲撃で真っ先にな・・・」


そう抑揚を抑えた声で言われた・・・・巫女達が殺された・・・・・


「この世界は、魔界の世界から、離れた所に位置し、戦闘能力も低い世界な為、後回しにされた・・・だからこそ、この世界の巫女達は魔物の襲撃が無くほとんど生きているのだ・・・・」


それってつまり・・・


「どちらにせよ、魔物達は遅かれ早かれ巫女達を狙ってくるという事ですか・・・・」


「ああ・・・その通りだ・・・・とは言え、死ぬのが速くなるか遅くなるかの違いしかないがな・・・」


・・・・・・・・何だよそれ・・・


「・・・・・・・・・貴方達は神卸の為に贄にされると聞いています・・・・それでいいのですか・・・?」


「・・・もちろんだ・・・・と言いたいが、やはり少しは未練があるな・・・まだ、私の世界は全て消えていないからな・・・」


「だったら・・・・」


「だがな・・・すでに後釜は見つけているし、何より、あいつが・・・笑いの神は絶対にこの任務から降りないからな・・・私も降りれないんだ・・・」


「えっ?」


何か間抜けな声が出た・・・さっきから、踊りしかしていない気持ち悪い変態を見ながら、さっきの言葉を思い出す・・・贄になる為の任務から・・・・笑いのか・・・変態が絶対降りない・・・・?それは・・・


「どういう・・・」


「あいつの世界は全て、魔物や魔族に消滅させられた・・・・」


またしても、知識の神、ジュルは抑揚のない声でそう言った・・・・全然そんな風には見えないのですが・・・・


「あいつの世界の住民はな・・・全員が幸せに生きていた・・・そして、その幸福の感情が私達の力となってこれまで支えてきたのだ・・・あやつは本当に最高の神だ・・・・」


その最高の神様・・・シリアスな話をしているのにさっきからすんごい踊っていますけど・・・いいんですか?


「だからだろうな・・・あやつの世界に魔族や魔物が大量に現れたのは・・・・あやつの世界では争い何て無かったからな・・・全員蹂躙されてしまった・・・」


今、シリアスの話を彼が蹂躙していますが・・・それはいいのですか?彼の踊りを見て、ルウェール何て怖がっているのですが・・・それは・・・・


「あやつも何とかしたかったのだろうが、制限を魔界を作った敵の神がかけてしまった為に何もあやつは出来なかった・・・・だからだろうな・・・あやつがこの任務を依頼をされ躊躇せず、決断したのは・・・」


・・・そんな彼女の独白を本当かよと言う思いで聞く・・・ほら、さっきから、飛び上がって、パンツ丸出しだぞあいつ・・・・野郎のパンチラ程嫌なものはないな本当・・・・


うん・・・?だけど・・・そうなると・・・・


「そうなると、貴方は何故、この任務に?さっき、自らの世界はまだ残っていると言っていたじゃないですか?」


そう、彼女には、まだ、統治すべき世界が残っている・・・それなのに、この任務に参加してもいいのだろうか・・・その疑問が口から出ていた・・・・


「・・・・・・・・・・彼一人だけ、贄にさせる訳にはいかない・・・一人だけの贄じゃ上手くいかないかもしれないし・・・それに・・・」


そう区切った後・・・初めて笑顔を見せてでこう言った・・・


「あいつと一緒に消えるのもまだ一興かなっと思ってな・・・」


その笑顔はさっきまでの感情を表に見せなかった女性には全く見えなかった・・・


「・・・・・・・・貴方はあの変態の事が・・・・」


「・・・うん・・・どう見ても・・・変態だね・・・本当に何であれをチョイスしたのか・・・・何で私は彼の事が・・・」


少し言葉を区切り・・・下を向きながらポツリとこう言った・・・


「好きなんだ・・・・」


・・・・・・・ああ・・・・この人・・・神は・・・たった一人の神の為に自身を贄にしてまで、一緒になろうとしているのか・・・・・神自らの本体とも言える精神力・・・それを贄にするという事は、自らの存在を消滅させるという意味を知っているだろうに・・・・・それなのに・・・・・・・・


だけど・・・・・だからこそ・・・・こう思う・・・・


「・・・・・だから・・・」


「ん?」


「世界を救う為だから・・・ルジャに神殺しをさせるんですか?あの子に重荷を背負わせるのですか?!!」


それは心からの叫びだった・・・あの子は優しい・・・そのルジャが神を自らの手で殺さないといけないと知った時・・・それに心が耐えられるのか・・・ただでさえ、今彼女の心は壊れかけている・・・それなのにまた彼女の心を壊しにかかるのか!!


「・・・・・・・・・・・・そうだ!!」


「~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」


「・・・どちらにせよ・・・お主らが動かなければ世界は滅びる・・・時間はあまり残されてはおらぬぞ・・・」


「・・・・・・・一晩考えさせてください・・・・」


「・・・・・・・・・解った・・・・明日の夜この場所で答えを聞かせてもらおう・・・・またな・・・」


そう言って、2人は目の前から消え・・・・


「フハハハハ!!何がそんなに不安なのだ!!どれ神である我に相談してみろ!!」


消えてくれませんかねえ・・・・・

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