私はジェニー魔王軍の参謀係

私はジェニー魔王軍の参謀だ。


今日、魔王バイドと勇者ハールの子供が生まれた。名前はロイドだ。


魔王と勇者が話し合って決めた名前だ。


ありきたりかもしれないが、魔王と勇者の子としてあまり目立つ様な名前にしたくないという二人の親心からその名前が決まった


賢者として何とか世界を平和にする為に動いていた私だが、まさか勇者と魔王が結婚する時が来るとは思いもしなかった。


勇者が子供を抱きかかえるのを見ていたが、知者の書が私に警告を発した。


知者の書・・・これは、書物の名前では無く、スキルの名前だ・・・


この世界の理を知る事が出来る物で・・・世界の理が詰め込まれた空間にアクセスできるスキルで・・・どんな事もこの世界の事を知ることが出来る・・・


・・・具体的な例を挙げるとパソコン(自分)の様な端末からDB(知識のある空間)のデータを取り出すような行為だ(この知識も知者の書から貰っている)。


知者の書はこの子供が別世界の転生者であるという事を伝えた。


そして同時に、その世界の知識も知った・・・私は急いで、勇者ハールに話しかけた。


「ハールこの子、転生者よ。」


同時に転生者に対して魔法で話をする。


二人同時に話すことなど、千年以上生きてきた私にとって容易なことだ。


「転生者って?」


ハールはよく解っていないようだ。私だって、知者の書が無ければ、解らなかったし、転生者とも話すら出来なかった。


「簡単に言えば前世の記憶を持った生まれ変わりよ、この子は別世界の人間だったみたいだけど」


「・・・この子、このまま育てて大丈夫?」


多分、前世の記憶があることで何か悪さをするのでは無いかという懸念からの質問なのだろうが、今、念話で話をしていて大丈夫そうなのでそう伝える。


「大丈夫そうよ、前世の記憶はあるみたいだけど、結構素直そうな子みたいだし、というより、この子から、魔法を教えてって言われたから、教えるわね」


私の言葉に勇者はえっという顔をした。


「私が喋りながらでも念話で話出来るの、知っているわよね」


そう、私は人間社会でハールの師匠になって教えていた時期があったが、その時他の人と喋りながら指導していたことがあったので、その時と同じ事を今やっている。そして、その結果


「話してみて、素直ないい子そうだから大丈夫だと思うわよ。」


と判断した。まあ、これで演技しているとしたらかなりの者だろうが多分大丈夫だろう。


「それより授乳しなくていいのかしら?」


私のそんな言葉にちょっと戸惑って、勇者が話した。


「えっと、だけど、前世の記憶があるんですよね、因みに年齢は」


「18歳よ」


私の言葉に勇者は固まる・・・


「・・・少し抵抗あるだろうけど、ミルクだけだと、免疫が付かないわ・・・この子、頭は18才だろうけど、体は赤ん坊だからね・・・私、生まれる前に言ったわよね?ミルクだけだと、身体が弱くなっちゃうと・・・極力母乳で育てなさいって」


「だけど、こうなるとは思わなくて・・・。」


そう言われて、ハールは少し困った顔をした・・・


「まあ、あっちも困っているみたいだけど、このままだと初めての子供にお乳やれないわよ」


私の言葉に勇者はまたえっとした顔になる。


「前世の記憶を持ってたってこの子はあなたとバイドの子供それなのにお乳をあげなくていいの?」


私の言葉にハールは少し考え・・・


「解りました、あげます」


と答えた。


はあ、年長者として役割とはいえ諭すのって疲れる、そう思いながら、私はこの子に何を教えようか考えていた。


・・・さっきから念話で話してて私の名前を間違える(フェニー、パジーて何よ)この子がどの位魔法を覚えられるか解らないけど・・・大丈夫よね・・・?

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