第三話 目指すはエンケラドゥス
虹色に光輝いていたブリッジ内の空間は唐突に暗くなった。
「ワープアウトしました。現在、土星の周回軌道上です」
香織の報告に頷く義一郎だった。
「羽里エンケラドゥス付近の微細天体を検出しろ」
「了解。検出中です」
羽里はレーダーを慎重に扱い微細天体を検出している。
エンケラドゥスは土星の環の一番外側に当たるE環付近を公転しているのだ。輪を構成するのはほとんどが氷であり細かい粒子が多い。しかし、中には数メートルの大きい塊もある。それに衝突するのは不味い。
「検出を終了しました。位置をマッピングします」
「ヨシ。回避コースヲ設定シタ。黒子、正確ニトレースシロ」
羽里の報告に合わせ即時コース設定をしたララだった。
「黒子。慎重に操作しろ」
「分かってます。防護シールド展開します」
「重力制動最大」
「重力子反応炉出力最大値を維持」
輝く土星と輝く輪。そして輪の端に一際白く輝く衛星エンケラドゥス。
スーパーコメットは重力制御を利かせながら氷に覆われた白い台地の上を飛ぶ。
目指すは南極。
南極地域が最も氷が薄いとされているからだ。
「アースドラゴン発進準備。香織、知子、そしてララの三名は準備に入れ。スパーコメットは重力制御にて南極点上空に固定。黒子いいな」
「了解」
「羽里は引き続き微細天体を検出。本船、及びアースドラゴンに接近する場合は破壊しろ。プロトンガンの使用を許可する」
「了解」
香織、知子がララがブリッジから出ていく。
「ヘマスルナヨ」
ララを見ていた義一郎がふと疑問を口にする。
「ララちゃんの毒舌は何処へ行ったのだろうか……」
「今日は物腰が柔らかすぎますね」
義一郎の言葉に頷く羽里。
しかし、黒子は首をかしげていた。
「ララちゃんいつもと変わらないよ」
相変わらず鈍感な黒子に義一郎は苦笑していた。
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