~日本一のスーパー快速~
直江津駅へ戻ってきた。
ここから、今日の夜泊めてもらう大学時代の友達の家がある長岡へ向かう。
普通なら、直江津から長岡までは信越線で行くだろう。
ただし、今回の旅のもう一つの目的は、ほくほく線に新たに新設された種別、超快速電車に乗ることだった。
北陸新幹線の金沢延伸開業によって、ほくほく線内を走っていた特急はくたかが廃止され、首都圏ー北陸間の旅客輸送が完全に新幹線へシフトしてしまい、元来首都圏ー北陸間の速達輸送を名目に建設されたほくほく線は、その使命を終えてしまった訳である。
収入の9割を特急はくたかから得ていたほくほく線にとっては痛恨の極み。このまま衰退の道を辿るのだろうか。
そんな中、北陸新幹線へ対抗する列車が出来た。
ほくほく線超快速である。
特急はくたかの乗客の1/4ほどが直江津駅利用客だということから、直江津ー首都圏間を移動するニーズはあるかもしれない。現在、直江津から新幹線に乗るためには、妙高はねうまラインで上越妙高駅へ行って北陸新幹線に乗り換えて向かう経路と、ほくほく線で越後湯沢駅へ行って上越新幹線に乗り換えて向かう経路の2つがある。距離の観点から、大方前者を使うのが一般的だろう。
そんな一般を覆してくれたのが超快速スノーラビットだ。
この電車のコンセプトは、上越妙高経由北陸新幹線の経路よりも早く、かつ安価で東京へ行ける、または直江津へ来れることであり、直江津ー越後湯沢間の途中停車駅は十日町のみである。
車両は、通常の普通列車であるHK100形を使用するが、ほくほく線内は時速110㌔で疾走する。そのため、直江津ー越後湯沢間は下り57分、上り58分と、所要時間を一時間以下に抑えている。更に上越新幹線との乗り換えを考慮されたダイヤ設定で、上越新幹線を使って東京へ行く、あるいは来ると、北陸新幹線経由よりも4~36分程度早く、¥1470ほど安い。
これは大変素晴らしいことだ。在来線の地方ローカル私鉄が新幹線相手に戦うその姿勢が、とても雄々しく見える。
この電車の運行により、直江津ー越後湯沢間の表定速度(走行距離を所要時間で割った値)は88.6㎞/h、ほくほく線内犀潟ー六日町間に限っては99㎞/hにも及び、これは共に在来線の特別料金不要の普通・快速列車では日本一の数字である。まさにスーパーな快速電車だ!
実は、個人的には北陸新幹線の延伸開業によって東京ー金沢が2時間半で結ばれるというニュースなどよりよっぽどすごい関心事であった。新幹線が目的地に早く到着できるのはむしろ当たり前のことで、新幹線の開通で所要時間が短くなったことにはさして驚くことでもない。それよりも、在来線を利用して旧来の新幹線を利用した方が近隣の新幹線を利用するよりも早く目的地に到達できることの方がすごいことだと思う。
ほくほく線など、北陸新幹線開通によって切り離されてしまった第三セクター鉄道には頑張ってほしいものである。
直江津到着時には既にホームに入線していた超快速電車。なんと特別仕様車のゆめぞら号だった!
ゆめぞら号は、長いトンネル区間で車内に映像を投影することができる名物車両で、ほくほく線観光の一つになっている。臨時列車として、JRに貸し出されることもあるほど、ユニークな車両である。
残念ながら、超快速運用時に映像のプロジェクションは無かったが、間接照明を使用した車内は特急列車のような雰囲気だ。
超快速スノーラビットは、今やほくほく線の看板列車の一つになりつつあるため、超快速運用に特別仕様車を充てて本気でPRしているのかも知れない。
発車すると、しばらくはJR信越線の線路を走るので時速100㌔は出ていないようだったが、ほくほく線内に入った途端に爆走開始!
ほとんどの区間で時速110㌔の最高速度で疾走していた。夕焼け時で、犀潟ーくびき間の田んぼの真ん中を縦断する区間からは、妙高方の山々と一緒に夕日がお目見えした。
直江津17:55
ほくほく線超快速越後湯沢行
↓
十日町18:27着
直江津を発車して30分ちょっとで中越地方の十日町へ戻ってきた。
速い。
これが日本一のスーパー快速、ほくほく線超快速スノーラビットの力だ。
数年後に車両更新の時期になり、新車導入の機会が訪れたとしたら、いっそのこと特別料金不要の普通列車用としては最高クラスの設計最高速度時速130㌔や、それこそ特急はくたかレベルの時速160㌔の超高速性能を持たせれば、もっと速く直江津ー越後湯沢を結べ、ほくほく線内の評定速度も100㎞/hを超えて、更なるスーパー快速として日本一に君臨し続けるだろう。単なる妄想だが、地方ローカル私鉄が首都圏などの大手私鉄やJR在来線を圧倒させる走りを見せられるのは爽快だ。
ちなみに、超快速の英語表記なのだが…
超=super, 快速=rapidで"super rapid"かと思いきや、その実際はなんと「"cho"rapid」!!
超快速の"超"をそのまま固有名詞化するとは、さすがです。恐れいります…
さて、ここからは電化もされていないJR飯山線の、一両編成のローカル列車に乗り込んで上越線との乗り換え駅、越後川口へ。そこから上越線に乗って長岡へ向かった。このときの上越線車両も湘南色の特別車だった!
一日続けて特別仕様車に乗る機会がとても多かったのは嬉しいことだった。
十日町19:07
飯山線越後川口行
↓4
越後川口19:39
上越線長岡行
↓
長岡20:01着
長岡駅で友達と合流し、夕飯を食べ、スーパー銭湯で疲れを癒やしながら彼の家にお邪魔させてもらい、近況報告や昔話に花を咲かせながら一日目の夜も更けていった。
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