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「こ、これは……」
昨日まで、いや、つい先ほどまでは無かった新しい痣に困惑するが、今は目の前のスイレンの挙動に身構えるしかできない。
痣を見つめていたスイレンはと言うと、その痣に手をかざし、何か「呪文」を唱えていた。すると、痣にあった鎖は無くなり、青い痣は――、
「光ってる……」
それと同時に、次第に頭が痛くなり――俺は、その場で意識を失った。
……次に気が付いたのは、見知らぬ世界。
*****
俺は、その場で頭を抱えて倒れかけた「愛し子」――悠夜を抱きとめると、すぐにその場を立ち去ろうとした。……そう、したのだ。
「――おい、」
声がして振り返ると、そこには今日の主役の片割れ――新郎がいた。
「悠夜を……どこへ連れて行く気だ」
悠夜を抱えなおして、新郎のほうに向く。新郎は、顔を歪ませて怒っているようだった。
「……この子は、俺の大切な「愛し子」だ。誰にも邪魔はさせないよ」
「愛し子……まさかっ」
歪んだ顔は、すぐに驚愕の顔になった。この男は、博識なんだなと思ったので一つ警告しておくことにした。
「意味が分かるなら、この子を取り返しには来ないほうがいい。それに、君は今日結婚式を挙げたばかりの「旦那」さんだ。奥さんが悲しむと思うよ」
言葉に詰まり、その場に立ち尽くしている新郎を尻目に、俺は今度こそその場を立ち去った。
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