3

男は、また蹲ったのでその場に置いておき、俺はポストへと投函しに行く。

それ以降は、何事もなく、一日が過ぎていった。



*****



青い「靄」が、俺の体を囲う。

ちょうど、俺の痣と同じ色の青。


その「靄」は、左手の甲に吸収されていき――意識が薄くなる。

最後に聞こえたのは、懐かしいような、男の声。



*****



「見つけた、か」


夕方ごろ、昨日見た夢を思い出した。

最後に、耳にはっきりと残っていた言葉と声。

考えれば考えるだけ、途中まで読んでいた小説の続きが気にならなくなるほど、不思議な夢。まるで予知夢のような、意識に干渉されたかのような……。


そう言えば、と。ふと思いつく。

俺は、なんで夢の男の声を「懐かしい」と思ったのだろう。


「――会える、かな」


近いうちに。夢の、声の主と。

……そんな気がした。

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