第18話「今日の価値は、昨日の無価値」
これは考えるまでもない。
全てを握っているのは小川であり、また集めた
この怪物は、頭を潰さない限り何度でも復活する。
そして、この怪物は呪い呪いを持つ。
「弱点がある」
小川は知り得る限りの百識へ一斉送信した。
怪物が毒を吐き出したのだ。
「同じ奴が自爆に来る理由は、医療の《導》です」
小川が集めた百識は新家であっても、
「医療の《導》持つ百識が関わっている」
これは呪いであり、猛毒であり――、
「本筈聡子だ」
爆弾。
小川と
それに対し、小川は真っ向から白手袋を投げつける行為に出ている。
――これだけが一気に動いたら、止められるか?
運営が個人か、それに近い少人数である事には辿り着いていた。
今まで対処できてきたのは、陽が一人ずつ自爆する事で始末して行くという乱暴な方法を採れていたというだけに過ぎない。
それは案内人が百識と関わる時、最も重要視するのは個人の武力だったからだ。
――この場合、ひとり一人の能力よりも、数だ。人数こそが力だ!
陽と孝の《導》までは辿り着けていないが、爆薬を使用してきた事の調べはついている。
そこから小川が推測したのは――、
「二人とも、一対一の攻撃方法しか知らない、だから大規模な攻撃は、爆薬を使わなきゃダメなんだろう? しかし個人で使うには限界がある」
一対一を100でも1000でも繰り返せば勝てる、と思って戦ってくれれば御の字だ。その時は容易く殲滅できる。小川の駒も減ってしまうが、それに「大きな」と括弧書きしなければならないような被害にはならない。
「本筈聡子が医療の《導》で父親を生き返らせ、自爆させまくっている」
小川が――いつもの通り、小川が「こうでなければならない」という自信と共に、毒を、呪いを、爆弾を放っていく。
「本筈聡子を殺せば、運営に致命的なダメージを与えられる! そうなれば、より多く百識を動員できる物が人工島の王だ! それは――」
感極まる小川は、そこで「俺だ!」といえば格好がついたのかも知れないが、
「俺たちだ!」
そういったのは、保留癖だろうか?
結論は分からない。
ただ、舞台の決め事を破るという前代未聞の大問題が、今ここに出現したのだ。
「いけ!」
小川は命じた。
命じたのだ。
同志ではない――駒として。
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