芥子色のライダース・ジャケット take #4




芥子色のライダース・ジャケットを


雨に濡らしてしまった


ハンガーに掛かったそのジャケットの


肩や


肘や


胸が、


深い茶色に染みている




ソファーに座って、髪も乾かさずに


その濡れた芥子色のライダース・ジャケットを


ぼんやりと見ている




オアフ島、ノースショアのビーチに面した、


セルフサービスのガス・ステーション


あるいは、


晴れたり曇ったりする、クアラルンプールの六月


バイエル高原の小川に群れる、の稚魚たち





どこに行ったところで、


雨のような孤独は降り続くだけだろう


せっかくのお気に入りの、芥子色を、悲しく染め続けるだけだろう




木曜日が終わってゆく


横たわる、象の死体のように手におえない勢いで


水のないプールのようにやるせなく――――




ソファーの上は、


雨のような土砂降りの孤独だ




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