その2


 その帰り、学校の図書室に行ったボクは、お目当ての本を見つける。

 『可愛いアーメンガード あるいは、田舎娘の心 著者:H・P・ラヴクラフト』というタイトルの本。

 なんというか、これを借りろと言われないと借りない本ではある。

「はい、1週間後にお返しください」

「司書さん、この猫なんですか?」

と、ボクは足元でアクビをする猫について聞いた。

「ああ、私常駐の司書さんがいない時の代理なんですけど、遠くから来てるので、飼っている猫を特例で連れて来ているんです」

「へえ……」

 ボクがそうなんだ~みたいなリアクションをしてる足元で、猫がにゃあとアクビをした。

 さて、なぜボクがまったく興味のない本を学校図書室から借りなければならないのか、という話について少し。

 ボクは、実はこのバイトの雇用主にあったことはないし、そもそも顔すらしらない。

 たまに携帯にメールが入るくらいで、しかもめんどくさいことに、本の中に伝えるメッセージの本体を入れてるよという内容なのである。

 その本も趣味的な感じで、今までこのバイトを2回しているのだけれども、その時メッセージを送る用に使われた本のタイトルだけあげると

『アイスクリームシンドローム 大橋卓弥と常田真太郎著』

『ルール→ルゴール→ルシフェル→ルチャドール→ルイス・キャロル 町田さわ子』

というような、ボクにはまるで興味のない本だ。

 しかし、なんでそんなあからさまに怪しい雇用主のバイトをしてるのかというと、今通っている学校やら寮に入ることができたのが、彼?彼女?かはわからないが、雇用主のおかげだったりするから。バイトに一回行くことに、うん千万とかが自分に入るのが良いのだが、正直な話、わりに合ってるのかどうか。

 しかし、このバイトを勤めないと、アントーニオではないけど、内臓やらナニやらで借金を返さなきゃならない。それは嫌なので、ボクはバイトを真面目に勤めるのであった。


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