思い出帳

消すアドレスよりも音信不通になるアドレスの方が多かった

いつのまにやらメールが送れなくなっていたり

電話番号がなくなっていたり

探そうとすれば探せそうな人はいたが

そこまで執着しているのかと言われると「そんなことはない」と返せた

アルファベットとふりがな順に分かれたアドレス帳を開くたびに

空しくなった

連絡先を交換した時は、あんなに心躍っていたのに

今は、その思い出が朧気で、なぜあんなに楽しかったのか

遠い過去の残滓に目を瞑る

刹那、一期一会とか難しい言葉は、この為にあるのだ

言葉にならないから言葉を作る

この虚無に虚無と名付け、霞む思い出を切ないと思う

気軽に、気楽に、甘えられていた日々が遠い

目の前の画面が少しだけ遠く感じた

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