第2話 野犬と大尉と空軍基地と
*「ひとついいか?」運転中の俺に話しかけてくるのは誰か。
「どうしたリシェル」そう、彼女はリシェル。
「カズは予備弾倉いくつある?」カズは俺の名だ。
「数えてないが余り余裕は無いな。」だが銃撃戦になることもないだろう。
「フラグか?まあよい、ワシもあまりなくてな。近くに元空軍基地があるみたいでのう、行ってみんか?」
メーターを見ると燃料も残り少ないようだ。基地なら燃料もあるかもな。
「乗った、行ってみようぜ!」
「おお、ノリがいいのう」
「そうか?」
「いつもに比べたら、じゃがな。」俺って乗り悪いのか・・・
*「こりゃひどいな・・・」
基地でお出迎えしてくれたのは野犬たちだった。
野犬は群れるとかなりの脅威となる。動きも素早く狂犬病を持っている可能性もある、噛まれて運が悪ければ死ぬ。もはや猛獣とも呼べるだろう。
「装甲車で突っ切りたいが燃料切れだ。」出発するときに確認しておけばよかったと後悔した。予備のタンクすらない。
「もうじき日が暮れるぞ、夜になれば視界も悪くなる。」焦るリシェルさん。
「仕方がない、銃を使って突破する。サプつけろよ」音がすれば犬も寄ってくるはずだ、音はたてたくない。
「分かっておる。じゃが出し惜しみなしじゃ!」
夕暮れに染まる中、二人VS野犬たちの闘いが始まった。
*「カズ!二匹行ったぞ!」
「了解だ!」眉間に一発撃ったのと同時に弾が切れた。
だがもう一匹が飛び掛かってくるよりも早くナイフで首を掻っ切った。
勢いよく血しぶきが上がる。
「リシェルは残り何発だ?」
「さっきので最後じゃ。もう一発もない。」
「奇遇だな俺もだ。」
「そうか・・・ん?今なんと?」
「残弾0だ」終わった・・・
「・・・」沈黙リシェルさん。
近くの建物まではあと100mほどだ。だが犬は20匹ほどいる。
「やつら何匹いるんだ!殺っても殺っても湧いてくる!」
「ナイフで何とか突破するしかなかろう!」強気のリシェルさん。流石です。
「そうだな・・・」だが正直かなりキツい。
その時バコンッと大きな銃声がした。対戦車ライフルぐらいの発砲音だ。つか対戦車ライフルだろこの音。犬が消し飛んでいくのが見えた。
リシェルもきょとんとした感じだ。
その直後だ。
「お前らどっから来たんだ?」
男の声がハンガーのほうから聞こえてきた。
「ここから北に15kmほど行ったところからだ。」
「噛まれてはないか?」と謎の男。
「大丈夫だ!」
「了解だ。こっちへ来い」
日も落ちて暗くなったころ野犬たちとの戦闘は終結した。
*「武器庫?ありゃ遠いぜ。こっから2km南の滑走路手前だ。犬公もうじゃうじゃいる。」この男、元空軍兵の大尉らしい、名前はイヴァノフ。
「それは参ったのう。」リシェルも困った様子だ。
「明日の夜明けならいけるかもしれん。あの時間なら犬公も寝とる」
「ならそれで行くべきじゃ!」乗り気のリシェルさん。
「分かった。まあ俺も弾薬が少なくなってきたところだしな。丁度いい」大尉も協力的だ。
何はともあれ助かったのだった。
*「ここが使えるはずだ」と大尉。
「ありがとう」
その部屋にはベッドが6つ並んでいた。
「ワシは疲れた。もう寝るぞ。」ベッドに入ると同時に寝た。速い。
「おやすみリシェル。」
たった15km進んだだけで死にかけていて目的地に着けるのか心配になった夜だった。
冬の空には雨が降る 椛 @xxMomijixx
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