冬の空には雨が降る

第1話 とある朝

*眩しい。

そんな感覚から目を覚ます。どうやら無情にも起きなければならないらしい。

「早く起きんか!」怒鳴られた。

「頼むからライトを消してくれ」

「起きるまでは消さんぞ」

「わかった、降参だ。起きるよ・・・」体を起こすと同時に忌々しい光が消える。

「おはよう、リシェル」

「おそようじゃ、カズ」少し怒ったような顔をした銀髪の少女が目に映る。

いつも朝になると起こしてくれる上に朝食まで用意してくれる、とてもありがたい。

「飯はそこじゃ、さっさと食え」段ボールの上にはレーションとあたたかいコーヒーがおいてあった。

「助かる」

朝食をとりながら端末でどこからか受信されるニュースに目を通す。

次の瞬間コーヒーを思いっきりふき出した。とんでもない記事を見つけたからだ。

「な!?せっかく淹れてやったのに!」半ギレのリシェルさん。

「そんなことよりこの記事を見てみろ!」

「そんなこととはなんじゃ!」そういいながらも記事を見てくれるリシェルさん。

「なんじゃこれは!確かか!?」驚くリシェルさん。

「わからない、そもそもこれをどこの誰が配信しているかも分らんからな」

「どうする?」

「調べてみる価値はある、移動の準備だ」

「了解じゃ」

いったい何の記事なのか。

【旧アイリス共和国領にて日光を確認。雲に亀裂か。】


*「準備完了じゃ」

「俺もだ」

お互いに自分の荷物をまとめ、装甲車に乗り込んだ。

振り返ると大きな廃墟のビルがそびえたっている。朝まで居座っていた廃墟だ。

「長旅になるな・・・」不安なリシェルさん。

「どうした?トイレの心配か?」

「・・・ヘンタイ」

「・・・」冗談で励ますのはやめると決めた。


*小雨の中一台の装甲車が走っていた。

車内には銀髪のショートに赤いベレーの少女、そして黒いコートにクラッシュキャップを被った男が一人。

佇む廃墟を傍らに、二人の旅が始まった。


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