第五章

第五章

「あーあ、全く。ぱくちゃんも困りますね。ああして、気に入った人を見つけるとちょっかいを出してきて、もう毎回毎回そうなんです。新しい患者さんが来ると、ああしてどら焼きを配る。」

「そうですか。」

くまさんは、そういいながら手早く水穂をストレッチャーからベッドに戻してくれた。その手際の良さは、確かにほかの女性看護師より、優れていた。

「ご気分はどうですか?」

丁度その時、沖田先生が、回診の為に部屋に入ってきた。

「あ、はい。変わりありません。」

水穂は、いつものように小さい声で答えた。

「先生、あの変な外人は、あまりにも友好的すぎて、目に余ります。今日は彼にまで、どら焼きを配って、ちょっかいを出してきました。」

くまさんは、沖田先生にそういって苦情を出した。そうなると、かなり迷惑をかけている人物なのだろう。

「いいじゃありませんか。きっと鈴木さんの出身国ではそうするのが当たり前なんですよ。生まれつき身についたことを変更するのは、異国に来てもなかなか難しいことですから、ある程度、黙認することも必要だと思います。」

沖田先生は、にこやかに答えた。

「それに、もうしっかりと、新しい骨髄が根付いていれば、どら焼きを食べても危ないことは起こらないはずですよ。病理的には、多分安全になっているはずですから、今日のおやつのつもりで食べてみたらどうですか。おやつなんて子供みたいな言い方ですが、結構大事な物なんですよ。」

「そうか。もうペスト菌並みの破壊物は、存在しなくなったのか。」

くまさんは急いでそう答えた。

「はい。あとは、体力の問題です。もう少しの辛抱ですからね、頑張ってください。」

沖田先生は、水穂の肩を叩いて、次の患者さんの診察の為に、部屋を出て行った。

「じゃあ、どら焼き食べてみますか。ちょうどおやつの時間でもありますので。」

くまさんにそういわれて、水穂はまたぎょっとする。確かに大型の点滴はもう終了しているので、新しい細胞に入れ替わったことは知っている。そうなれば、ペスト菌並みに凶暴化した細胞は撤去されていることもわかる。で、で、でも怖い。どうして、、、。

目の前がさっと暗くなった。

「食べてみてください。もう、今までのような惨劇は、起こらないと思います。」

こういうときは、女のほうが相手の感情を読み取ってくれる能力はある。女の人は、それを読み取って、怖いならやめよう、と言ってくれる保護者的なことができるのだ。それに引き換え男性は、そういうところはあまり強くなく、横車を押して、突っ走ってしまう傾向がある。くまさんもどちらかといえばその一人だった。

「ほら、どら焼き食べてみてください。」

そういわれたら逆らえず、水穂はどら焼きにかぶりついてそれを飲み込んだ。ところが、どら焼きを飲み込んだ瞬間、今までとはまた違うことがおこる。とにかく、猛烈な恐怖に、頭中を支配されてしまい、とにかく体の中から、どら焼きを出してしまわなければという感情に囚われてしまう。

「どうしたんですか?」

くまさんが聞くと、

「すみません、気持ちが悪くて。」

とだけ口にはできたものの、のどにはどら焼きが戻ってきてしまうのを感じた。くまさんが膿盆を持って来てくれたのと同時に、先ほどのどら焼きを口の中から出した。幸い血液とは違うから、それ以上気分が悪くなることはないが、くまさんがこれではだめだ、という顔をしてみているのがわかる。

「どうしたんですか。ペスト菌並の破壊物は、当の昔に駆除できたのではなかったの?」

くまさんは、吐瀉物を片付けながら、水穂を困った顔で見た。

「もしかしてほとんど毎日、何も食べてないのではないですか?確かに隔離病棟にいたときは、葛湯とかそういうものですが、こっちに来てからは、少しずつ、通常の食事に近づけているんですよ。食事だって、きちんとしなければダメでしょう。」

「ご、ごめんなさい。どうしても食べるのが怖くて。」

「それじゃだめじゃないですか。ちゃんと、食事はとらなくちゃ。そんな当たり前のこともできないと困りますよ。何回も言いますけど、ペスト菌並みの破壊力を持った、凶暴化した免疫細胞なんて、もうどこにもないんですよ。」

男性は、理論的なものを持ち出すのが得意で、何でも事実関係だけで判断してしまうことが多い。もちろん人間の力では解決できないことは、男女どちらでも起こることであるが、それを解釈する能力は、男性と女性によって違う。男性は事実で判断し、女性は、感情で判断する。男女平等とはいうけれど、男性女性全部が同じ見方をすることはできないから、どこの職業でも男女が偏ってはいけないということなのだ。もし、この場面に女性の介護者が一緒に居れば、また別の見方が出てきて、別の展開になるはずだ。

とりあえず、くまさんは、吐瀉物を片付けてくれて、少し休んだほうがいいと言ってくれて、ベッドに寝かしつけてくれたが、それ以降、水穂は飲食物が一切喉を通らなくなってしまった。食事をくまさんが毎回毎回持って来てくれる度に、口にはするものの、飲み込もうとしてどうしても吐き出してしまう。幸い、くまさんは寛大な性格なのだろうか、水穂をそのたびに叱責することもなく、次は頑張ろうなと言ってくれるのだが、それが申し訳ないくらいで、なんだか隔離される以前より深刻な状態になった。

心配したくまさんが、腹部を聴診してくれたが、腹の音量が大変に落ちているという。それを聞きつけた沖田先生が、もしかしたら臓器破壊のせいかと予測して、再度検査してくれたが、肺程深刻に破壊されてはおらず、結論としては精神的な恐怖により、食べ物を受け付けられない状態ということになった。少なくとも、前半生45年、凶暴化した免疫細胞と一緒に暮らしてきたわけだから、その恐怖は残ってしまうのも無理はなかった。いわば、原爆投下から、何十年も時間がたっても、その時の映像が克明に記録されていて、そこから逃れられないで苦しむ精神疾患と同じようなものである。

こうして、三度の食事を全くしない生活が何十日も続いた。どうしても、それを克服することはできなかった。

そのうち、ナースステイションでは、あの、隔離病棟からやってきた、フランス映画の俳優並みに美しい男性が、もう間もなく、拒食によって餓死してしまうのではないかといううわさが飛びまわった。せめて、餓死してしまう前に、一度でいいから顔を見たい、なんて、看護師たち特有の冗談が飛び交う。どうしても、看護師という職業上、人がなくなるということには、鈍感になることが多い。あまりに仕事がきつく、そういうことにかまっている感性は持てないのである。持っている暇がないのだ。

担当になったくまさんは、そんな悪いうわさが飛びまわっては、水穂本人も辛いのではないかと思って、なんとしてでも食べてもらおうと試みたが、どうしてもできなかった。水穂本人も、食べれば食べようとするほど、食べ物はのどを通らなくなってしまうのであった。

これでは、病院のメンツというか、評判も落ちてしまうことにもなる。まだ、患者たちにこれを知らされてはいないが、そうなってしまったら、まさしく「内紛」勃発は免れない。


「あー、うまいなあ。もうさ、最悪だった。病院の食事なんて。あんなものばっかり食わされてたらさ、もう誰でもやる気なくすよな。本当に病院は、家畜でも飼っているのかっていうくらい、嫌なところだな!」

焼き肉屋ジンギスカアンの個室席で、杉三が、焼肉をバクバクと食べながらそう言っていた。その隣でブッチャーがあきれた顔をして、そのさまを見ていた。

「まあ、そんな大食漢じゃ、病院もあきれるだろうな。だから、看護師もきつい態度になるわけだよ。」

「うるさい。だったら、相撲取りがけがをして入院するときはどうするんだ?たぶん僕よりもっと大食漢じゃないか。あー、でもうれしい。こうして焼肉を再び食べられるとは!」

「いいですよ。杉ちゃん、久しぶりに焼肉を食べられるのですから、味わって食べてください。」

ジョチは、杉三がそういうのを見て、本当にこの人は単純素朴な頭だが、それが一番なのかもしれないなと思った。

「しっかし、ずいぶん早くなったんだなあ。ほら、昔はさ、骨髄ってなると、あげる側ももらう側も、すごい一大事だったんだぞ。もう、半年は時間盗られるのは当たり前、一年だってざらにいるぜ。それくらい、大騒ぎだったんだ。ほら、テレビで取り上げられることだってざらにあったじゃないか。よくあっただろ。テレビの中でさ、かわいい女の子が、お願いされてさ、」

チャガタイが、ちょっといたずらっぽい話を始めた。

「ああ、そんなにめんどくさいもんじゃないよ。ただ病院入らされてさ、すぐに麻酔がかけられて、ごろごろしている間に、腰にぶすっと針を刺されて、目が覚めたらもう終わりだ。あとは、体力がどうのこうので、病院で寝ていればもう終わり。それだけのこと!」

「そうなの杉ちゃん。へえ、昔は、提供者も結構きついって聞いたけどねえ。だから、どっちにも危険なのでやりたくないっていう人が多かったよねえ。そこを基軸にして、恋愛ドラマが作られたりとか。」

「あ、そうですね。ドラマだけではなく映画も作られましたよ。まあ、意外に作りやすい治療法なんですかね。」

ブッチャーは、また頭を掻いた。

「でもさあ、病院は本当にたいくつだよな。もう、こっちは痛くも何もないんだからさ、さっさと帰してくれたっていいのによ。がんじがらめにベッドの上に縛り付けて、ああだこうだとうるさく言う。ま、取ったその日はまだいいよ。疲れているからね。でも、翌日は、もういらんなあ。自分で何にもできないって、ほんとつらいよ。」

杉三が又でかい声で話をする。

「ほんとうですよ。俺は看護師さんから、何とかしてくれと言われて困ってしまいました。まるでやくざの親分みたいな言い方をされるから、そうしないように何とかしてもらえないかって。そしたら、ジョチさんが、裁縫箱でも持ち込ませたらと提案してくれて。」

ブッチャーがそういうと、

「杉ちゃんは、そういう人ですから、お役目が全くないことほど、辛いものはないでしょうからね。吝嗇家というか、なんというか。それで、すぐに杉ちゃん座布団を縫い始めて。」

ジョチも笑いだしてしまった。

「そしたらさ、隣のベッドのおじさんがさ、おい、俺のパジャマのズボンのゴム、かえてくれないかなって言いだして。僕がその通りにしたら、それが大評判になっちゃって。ほかの患者さんたちが、次々にここを縫ってくれって、お願いするようになって。」

杉三が、もう一回笑いだしてしまう。

「はい、最終日には、病院中大評判になっていました。出ていくときは、大勢の患者さんがお礼に来てくれましたね。」

「そう、迎えにいった俺は、恥ずかしいくらいだった、、、。」

ブッチャーは、その時の映像がありありと浮かんだ。

「それにしても、水穂さんどうしているかな。」

不意に、杉三がそうつぶやく。

「そうですね。とりあえず、隔離病棟からは出たようです。沖田先生から聞いた話ですが。」

「え、もう帰ってきたの?兄ちゃん。」

ジョチの報告に、チャガタイがそう聞いた。

「あ、そうみたいですよ。何とも、移植をすると一度や二度は罹患してしまうという拒絶反応も乗り切ることができたと聞きましたよ。」

「そうなの?じゃあ、とりあえず第一関門は突破したことになりますね。あとは、体力的な問題なのかもしれませんね。」

ジョチの発言にブッチャーも賛同した。ブッチャーもある程度、調べていたらしい。

「そうかあ、ブッチャー君の発言が正しければ、今の医学は本当に進歩したなあ。提供者もこんなに元気だし、もらう側もさほど負担はなくなったんだねえ。となると、兄ちゃんのような遺伝子疾患も、遺伝子取り替えなんていうことができるようになるかもな。」

「そうですね。僕も、買収した企業の従業員から、時折子供の造血幹細胞移植について相談を受けたことがあるのですが、大概、無駄骨折りするだけだからあきらめろ、と返事を返していました。でも、杉三さんの話を聞くと、そうとも言い切れないのかもしれません。少し、意見を変えるべきかなと考え直しましたよ。」

チャガタイとジョチは、少し意味の深い話をした。

その間に、杉三は、彼等の話を無視し、焼肉を食べ続けるのであった。この能天気ぶりを見たら、蘭は怒るよりも卒倒してしまうと、ブッチャーは思った。


ところがそれから数日後のことである。

杉三が、家の中で晩御飯の支度をしていると、インターフォンが鳴った。

「はいよ、だれだ!開いているから、すぐに入れ!」

「杉ちゃん、わるいけどさ、大人数で押し掛けちゃって悪い。俺たちだけでは、解決のしようがないから、ジョチさんが本人に会わせてやれっていう意見をだして、連れてきたんだよ。」

声の主はブッチャーだった。

「すみません。杉ちゃん、あがりますよ。本当は、青柳先生も来ていただきたかったんですけど、今日はどうしても出なければならない学会があるそうで、僕が代理でまとめ役を頼まれました。本当は、店でやろうかとも考えましたが、あいにく、今日はお団体様が来るようで、開いている部屋がないということです。」

と、言いながらジョチも入ってくる。

「なるほど、なかなかいいお宅じゃないですか。いまどきの家にはない、昔ながらの日本の家という感じですね。高齢の女性などには喜ばれそうだ。」

そういいながら、入ってきたのは沖田先生だった。

いきなり男三人が、そういいながら入っていたので、少しばかり杉三はびっくりしてしまった。

「どうしたんだよ。三人とも。深刻な顔をして。何かあったのかよ。ま、とりあえずそこのテーブルに座れ。」

とりあえず、杉三はそこへ座るように促した。

「お茶でもだそうか?」

「ああ、お茶は結構です。それよりも、早く議題を出さなければなりません。それよりも、今回は、提供者である杉ちゃんに何とかしてもらう必要があります。では、さっそく会議を始めましょう。では、沖田先生、お願いできますでしょうか。」

ジョチが、経営者というか、トップクラスの人間らしく、開始の合図をした。

「はい。そうなんです。じつはですね。水穂さんのことでお願いがございまして、まあ、一々遠回しにして話すのも、皆さん理解に苦しむでしょうから、単刀直入に言います。水穂さんが、まったく食物をとらなくなり、このままだと餓死する可能性が高いので、何とかして、食物をとってもらわなければなりません。ので、説得をお願いしたくこちらにまいりました。」

沖田先生は、事実をしっかりと述べた。

「餓死、、、なんだ、ハンストでも始めたのかよ、、、。」

ブッチャーは、思わず混乱してそういってしまう。まさかハンストをするきっかけがあるとは思えないのだが、そういってしまう。

「たぶんきっとハンガーストライキをしているというわけではありません。少なくとも、そういうことをさせるようなことは、うちの病院はしておりません。そこははっきりしています。そうなったら、警察沙汰になってしまいますからね。理由はそういうことではなく。」

「じゃあなんだ!それでは、どういういみで!」

「杉ちゃん落ち着いて。僕も少し彼の気持ちがわからないわけでもないですね。たぶんきっと食物に対して恐怖心があるでしょう。音楽家になるような人ですから、感情というものを強く感じてしまって、そうなって強く反応してしまうのだと思います。これは、大なり小なりあるのですが、戦争の終了した直後に平和が訪れると、戦争中の記憶が頭に残ってしまって、どうしても焼き付いて苦しむことを強いられる人がいるんですよね。どこの世界の戦争小説にも、こういう人物は登場します。」

「だからその、お前さんの赤旗思想を語ってもらいたくないんだよ。それよりも、水穂さんのことを教えてくれないかな。」

こういう口の利き方をできるのは、杉三だけであった。ただ、今はそれを反論する者はいなかった。

「いわゆる拒食症に陥ったんですかね。」

ブッチャーが言うと、ジョチがこう解説した。

「いえ、ブッチャーさん、それも違うと思います。拒食症のように、体重を減らしてどうのこうのということは求めていないと思います。とにかく、戦争の被害の一つなんでしょうか、これまで、食べ物のせいでペスト菌並みの威力を持った免疫細胞が暴走することを、散々経験したわけですから、いくらその原因物質がなくなったとしても、その記憶だけはもっているんでしょう。そこと彼は戦っていて、このままだと、」

「敗北!?」

杉三が、でかい声でそういうと、ブッチャーがまた涙を流した。

「ちょっと待ってくださいよ。そうなるとまた、酷いことになるじゃないですか。そうなると、今度は、精神関係に送られるというわけですね。俺は、姉ちゃんのことで経験しているからうんとよくわかりますけどね、周りの大人には精神関係の治療は、もう天からのパンみたいに見えるけど、そのうち何も変化がないことがわかって、本人も周りも失望していく、いわば、泥沼ですよ。そんなところに、水穂さんも足を踏み入れるというわけですか。俺は、医者ではなく素人ですが、精神関係は、医者なんて全く役に立たないって断固として言えますよ。つまり、すくいようがないってことです。幸い俺の姉ちゃんは生きていてくれていますけど、中には自殺をしてくれて、やっと解決っていう例もすくなくないんですからね!ああ、なんてことだ、あんまりだ、、、。」

「ええ、ある意味、死去するより辛いものをもたらすと言えますね。それは僕もよく相談を受けたときに感じました。」

ジョチも、ブッチャーの発言に賛同して、軽く背中を叩いてやった。

「そうですね。私は、血液内科医ですので、精神関係については、あまり詳しくありませんが、精神科の医療機関については、非常に疑問に思うことがあります。面倒くさい治療を試みるより、一度直接ぶつかったほうが、よほど早く解決すると思われることが、よくあるんです。だから、私も、彼をこのまま放置してはならないとおもうんですね。」

沖田先生は、老医者らしく、雄弁と話を始めた。

「それでは、僕たちにはどうしろと。」

「ええ、医療従事者として、お願いすることとしては、私達では彼の心まで取り戻すことはできないということなんです。それをやるにはやっぱり、家族というか身内でなければできないことなんですよ。例えば、生きる意力を失ってしまった子供が、お母さんの登場によって、一気に回復した例もあります。だから、そういう人にぜひ来てもらいたいところなんですよ。ただ、彼にはそういう人物はどこにもおりません。それも確かです。」

確かにそうだ、と全員確信した。それだけは紛れもない事実だった。

「ただし、一人だけ、例外がある。これはね、ほかの医者は、たんなる治療の道具しか見ないのですが、私は違うと思うんですよ。体の一部を分け合うということは、何か特殊な縁と言いますか、そういうものがあると思うんですね。だから、そういう人物であれば、何かつながるかもしれない。どうでしょう。」

沖田先生の話に、周りの人物は全員彼のほうを見る。

「僕?」

杉三が思わず言うと、全員がそうだよ!と異口同音に言った。

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