第3話

描写を現時刻に戻すが、ハーマイオニー・グレンジャーとセブルス・スネイプのようなやり取りが現在進行形で行われていて、名前は知らぬ女子生徒が絡まれているのであった。

「君は前回の授業で私が述べた高校数学を学ぶために最も必要なこと、これを覚えているのかね」ーー覚えているわけないだろう。僕は貴方の名前すら覚えていないのだから。「忍耐力ですか。」「そうだ、……思い出すのに15秒もかかったか。」

穢れた血め…と続けそうな言い回しである。女子生徒の顔色は案の定悪くなっている。

しかし数学の教科担任はまだ絡みを続ける様子で女子生徒の顔をじろりと見つめ、言葉を発しようとしたため。さすがに私は見過ごす訳には行かなかった。

「先生」ーー

声をかけようとしたその時である。

さっきまで椅子に几帳面に座り、数学の教科担任から絡みを受けていた女子生徒がーー床に崩れ落ちた。


ミシッ


微かな音が伝えたのは女子生徒の生命に関わる緊急事態が今、正に起きているということであった。

慌てて職員室に掛けていく数学の教科担任と不安に満ち溢れた面を下げた同級生、その中にただ呆然と居座っていた僕は、最早彼がこのような状態を引き起こすのは時間の問題であっただろう、とでも言うか迷いながら、やがて同級生と同じように不安そうな顔をし女子生徒の顔を覗くのであった。

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