第42話 物語と神話の距離

若者にとって、普遍的な神話は必要ではない。いや、必然ではない、と言うべきか。

自我という「個」を全力で確立しようとする時期に求めるのは、あなただけのために創られた「物語」である。それを現実「社会」の中で追求することができるし、実現しようと全力を傾けるのが「英雄」だ。歴史はその物語を長い永いベクトルで俯瞰するすばらしいツールである。

物語とは、狭義には社会的自我表現、広義には社会的自己実現なのだ。


神話は自然にかかわってくる。すべてを人間に取り巻かれて日常生活が完結する大都市において、人の前半生、神話は必然でないケースは多い。


神話と歴史と物語と記憶、これらの有効な「距離」の把握は、歳を重ねるほどに有益となる。

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