第31話 神話素としての金(カネ)

金(おかね)の神話的変遷

カネの象徴ははじめは石。石から金属、金銀銅。そして宝石、紙幣へ。

西洋中世末期、銀行はひとつの神殿となる。托鉢修道会が利子論を神学的に洗練させ、モンテディピエタとして、後に世俗化される銀行の原型を作り出した。

そして現代は電子マネーに。ほとんど神と化した金、そして情報。


中世で心的荒廃の象徴は聖杯でいやされるべき「荒れ地」だった。エンデはそれを四次元的なひろがりを持つ「虚無」だととらえた。エンデはその虚無の深淵に、あまりに膨張した「貨幣」経済の拡大を布置した。

現代の新たな金、もはや「貨幣」経済を超えた金の、新たな神殿はどこにあるのだろう。

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