第18話 竜について
楽園の蛇は誘惑の罪により、地に落とされ、手足を奪われた。
手足ある蛇は、本当はつばさを得て、竜になるはずだった。
おそらく蛇はまちがえたのだ。竜に成るには、知恵の実ではなく、命の実を求めるべきだった。しかし人も「蛇」も、先にリビドの向ける先を知恵(=欲望)に傾けてからでないと、不死の命にはいたれないという鉄則がある。また死ぬとは爬虫類や動物以上の特権であり、死の認識は霊長類の特権である。植物は枯れる、水は濁る、金属は錆びる。
竜のイメージ。ワニや蛇など、爬虫類としての純粋な生物的つよさを根っこに持つ。それに鳥の飛翔するつばさと、人間の精神が掛け合わされる。
下半身は爬虫類
上半身は鳥類
頭部は高等哺乳動物
脳は人間
上半身下部のイメージ、すなわち「胃袋」の形象は曖昧に思える。
一般に竜は下から上へと進化の梯子を登り、そのプロセスは同時に神化の過程でもある。中国の龍は生物的というより象徴的で、その神化を如実に示す。
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