第14話 もうそうした未来の一コマ

そして、人間は「脳」物となった………。

微細な生物から魚類が、革命的変化を経て陸上に上陸し、両生類、爬虫類、鳥獣類という動物を経て今や25世紀、生命は脳物へと至ったのである。


植物は革命的な根の発明を捨て、動物は革命的な足という発明を捨て、また人間は革命的な手という発明を捨て、意識と意志というあまりに人間的な武器に大枚をはたいた。あらゆる快適、労働の労苦、痛みを肩代わりした機械と人工知能の貢献によって。


脳物のふしぎな外見的造形は、たまねぎに似ている、と彼はつねづね思う。圧倒的な果実の巨大さと、それを支える根だけにその生物的エネルギーのすべてを傾注した、かの奇怪なかたちの植物に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る