第15話 神々への道
当初、圧倒的な力と美を備えて、雲に被われた山々の頂き、暗い洞穴、森、海に棲んでいた神々は、のちに凝集してひとりの神となら、この神はさらに人間になりました。
ところが現代では、この人間になった神すらもその玉座を降り、ありふれた凡人の中に融け込んでしまうように思われます(カール・ユング「人間心理と宗教」)
ハンターたちの信じた自然の神々や、彼らの命をつなぐ糧だった動物神たちが、農耕の発達が都市を産むと、文明が孕んだひとりの神に凝集する。神の死(ニーチェ、マルクス、ダーウィン、代表的な神殺しの思想家たち)と共に、偉大な神は人になる。正確には人の理性、自我と言うべきか。
そして現在、世紀末をまたぎ21世紀、人の理性もまた敗北し、玉座を降りた。
人間は動物から脳物になろうとしている。
神は小さくもおそろしく果てしない生物の自然である、脳にうつりつつある。
人はかつて神と呼ばれたものに逢いに、外にではなく地下に、自らの内部に降りてゆく。
神に至る道はある唯一の神の専売特許ではなく、宗教の領域ですらなく、極めればどの道からも自らのたましいに、神の座に至れるようになった。
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