第3話キリストの磔刑
高度な神学的衣装の一枚下には、血なまぐさい、最も旧い原始の農耕儀礼に起源を持つ。フレイザーの「金枝篇」、インディージョーンズ「魔宮の伝説」で語られた王殺しの犠牲祭り。神たる王は周期的にころされる。農耕生活は周期で成り立つ。王も土の豊穣力を保つため、「周期的に」ころされる。
狩猟は太陽と月の周期。
農耕は天と星の周期。星の周期が文明のはじまり。シュメールの神官たちが星のサイクルを精密記録し、解き明かした。
ちなみに狩猟民では、「神」は食物たる獣、例えばアメリカインディアンならバッファロー。
共通項。キリストと同じく、フレイザーのころされる神王と同じく、動物神も、「すすんで」自らの意志で(もちろん神話的な意味で)人間たちの食べ物となる。
キリスト教に戻る。ユダヤ教は牧畜民の教えだが、キリスト教は農耕文明。西ヨーロッパにおけるキリスト教の布教と農耕の伝播は連動していた。
キリストは新しくも旧いころされた生贄の神。ミサの葡萄酒は血であり、パンは肉。
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