ハムルビ #3-3

【一件の新着メッセージがあります】

 スマホの画面に浮かび上がる文字。

 オカシイ。

 いちいち画面に浮かび上がる通知が鬱陶うっとうしくて非通知設定にしていたはず。

【一件の新着メッセージがあります】

 画面は消えずに煌々と光っている。

『♪!!!!!! ♪!!!!!!』

「うわっ」

 じっと画面を見つめていると、不意にスマホが警告音を発しながら手の上で震え始めた。あまりに突然の事だったので、オレは驚いてスマホを地面に落としてしまった。


 バギッ


 歪な音を立てて画面が割れる。落ちてもなお震え続けるそれは画面に一通のポップを表示させていた。

【重大なエラーが発生しました。被験体C2-0019は直ちに既定の位置へ移動してください】

「な、なんだよこれ! おい! どうなってんだよ!」

 ハッと気が付く。揺れているのはスマホだけじゃない。

「地震!!!」

 途端に世界に警告音が響き渡り、アナウンスがとどろく。携帯はバグを起こしたのかひたすらメッセージを読み込んでいるようだが次第に文字化けが酷くなり、読み取れなくなってゆく。その様が異様で不気味で、オレは次第に恐怖に支配されていった。


【重大なエラーが発生しました】

【重大なエラーが発生しました】

【重大なエラーが発生しました】

【重 なエラー  生しました】

【重大なエラーが    した】

【重大な ラーが譁�発生しまュした】

【重大なエ  が発生しました】

【重   ラーが発生し€喧まし 】

【      エラーが発生   た】

【 大譁�ュ縺なエラーが発生  した】

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【重大  ラ¿¿益睆ーが発ュュした】

【重大なエラー鐔�鐔� 鐚醐執鐚が発������������生】

【������������������������】


「ひぃっ!!」

 理解不能。

 自分の身に一体何が起こっているんだ、と疑問符がオレの頭を埋め尽くす。

 ガラガラと音を立てて崩落する建物。天井は悲鳴を上げ、地面は沼田内回っている。

「誰か! 誰か助ッ──ぴ、ぎゃ」

 拳ほどの大きさのコンクリートが、必死に助けを求めるオレの脳天に直撃する。でろりと飛び出る脳汁が目の端に映り込むと、途端にあたり一面を赤く染め上げた。

「あ────あぁ──────ッ──ぁ」

 混沌が世界を破壊する最中さなかスマホからは依然として警告音が鳴り響いていた。


【重大なエラーが発生しました】

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