月のライン 7-5


 校舎の裏に回ると、町長は高鳴る胸を押えながら、辺りの様子をうかがった。


 小さな畑のある場所に、いくつもの白い光が浮かんでいる。


 月のライン。


 夜に光る、花びらのライン。


 町長は静かに歩み寄ると、花々の間で横たわる人影に、目が行った。


 左手に、今、摘んだばかりの花を。右手は人差し指を立て、空を指している。


 影はその指で何度も、何度も、何かを切るような仕草を見せる。


 町長はその病状に、思い当たることがあった。


 ラインを切っているのだ、と確信した。


 町長は近寄ってその身を起こさせ、腕に強く抱きしめた。


 ロイ、もういい。どうか許してくれ。


 町長の口から、声にならない嗚咽がこぼれた。


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