第12話 常連さんは強い
なんだか、久保田くんの配信はトラブルが多くて、こちらまで巻き込まれそうな気がして、しばらく行く気になれない気がしていた。
拓也の配信は、夜遅いので、ファンの子も、待ちわびていて、コメントが多く、拓也はひとつひとつのコメントに対しての返事に割りと時間を掛けてちゃんと応えるので、コメントしても待たされると、コメントする気になれないこともある。
特に、常連の絢香と真紀との会話で盛り上がると、わたしは蚊帳の外のような状態になるのだ。
その日その日で、楽しくて楽しくて仕方がないときと、もう行くのやめようかと思うくらいつまらないときがある。
拓也は以前にも配信はしていたようだけれど、一度やめて、再開した模様。わたしは拓也が再開してから、一週間後に拓也のルームを初めて訪れたのだ。結構早いと思うかもしれないけれど、絢香と真紀は再開した最初の日から、拓也の配信に毎日訪れているのだ。
たった一週間の違いで、絢香と真紀は常連さんで、拓也とじゃれ合っていて、その中に入り込めないことがある。
これは何処のルーム内でもある光景だ。
以前にも配信を観て応援していたグループがあったが、やはり遅れて応援し始めたわたしは、なんとなく居づらい感じがすることがあった。
グループといっても、以前から応援していた俳優さんが、グループを結成し、ネット配信を始めたので、観に行くようになったのだ。
なので、その俳優さん、中村さんのファン歴は、配信で中村さんを知ったファンの方より、わたしの方が長いのである。
しかし、そんなことは関係なく、わたしは配信の中では、中村さんの常連さんとは認めてもらえなかった。
中村さんは昔からファンを大切にする方で、わたしはある事情で、少し離れてはいたのだけれど、リアルに少し余裕ができたので、また中村さんを全力で応援しようと思っていたのだ。
わたしはネット配信なるものは、今までやったことがなく、登録の仕方もよくわからなかった。一応、配信でファンになった人と仲良くしておいた方がいいかと思い、Twitterでそれらしきファンの人を数名フォローした。
中村さんは、舞台俳優だ。丁度、舞台の出演中だったので、ネット配信の登録は後回しにして、わたしは福岡に住んでいるので、東京まで観に行くことはできない。なので、Twitterで舞台の応援ツイートをすることにした。
「さっちゃんも配信観に来ませんか」
Twitterでそう声を掛けてきたのは、美月だった。
中村さんへのリプライや、美月のツイートで、この美月という女の子が、配信などのリーダー格だということは、わたしは把握していたのだ。
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