第13話 リーダー格との付き合い方
TwitterやInstagramで、中村さんに話しかけている美月の存在。美月のツイートを見て、好きにはなれないタイプだなと、わたしは最初から感じていた。
毎日毎日、TwitterでもInstagramでも、中村さんにコメントするのは美月が一番先なのだ。
中村さんは、毎日TwitterもInstagramも投稿している人だ。時間は決まってはいない。朝早い時間だったり、お昼からだったり、それなのに、一番にコメントしているのは、いつも美月なのである。たぶん中村さんが投稿すると通知が来るようにしているのだろう。
それにしても、少し異常な感じも受けた。
どんなに好きでも、毎日毎日、コメントするのは大変なことなのだ。TwitterもInstagramも、いいね、だけでもできるのだから、毎日投稿は気にしていても、毎回コメントする人はあんまりいない。
それに美月のツイートも「今日も中村さんの応援をしようね。ファンを増やそう。これリツイートしといてね」
リーダーは大変ですね。
「美月さんが中村さんのファンの応援団のリーダーなんでしょ?」わたしがそう聞くと「リーダーじゃありません!」と言う。
じゃあ何様なのよ?わたしはもう何年も前から中村さんを応援してきたのよ。まだまだ本当にファンが少ない頃から応援してたの。Twitterでもたくさん話したし、ブログも最初の頃の初々しい中村さんをリアルタイムで知ってるの。殆どテレビには出ない中村さんを、テレビで観たのは一回だけよ。その頃はネット配信なんてなかったんだから。それでも応援できたの。素敵な人だから。
そう美月に言いたい気持ちを、グッと堪えた。
中村さんは、以前からファンから王子と呼ばれていて、中村さんのファンの子は、姫と呼ばれていた。わたしは中村さんのことを王子と呼び、中村さんもわたしのことを、当時のアカウント名である、みゆき姫と呼んでくれていた。
美月は、わたしのことを、中村さんの姫たちの中には入っていないと思っているのだ。
「姫たちを50人にするのが目標だよ」
中村さんがブログやTwitterでそう言っている。
「リツイートして姫たち増やすよ。みんなー!」また美月がリーダーぶる。
リツイートしても、配信繋がりでTwitter始めたばかりのあなたたちじゃ、見る人は少ないのよ?フォロワー50人もいないのに。
わたしは自慢じゃないけれど、フォロワーは二千人を超えている。だけど中村さんを知らないフォロワーさんにリツイートだけで中村さんのことを知ってもらったり、ファンになってもらったり、姫たちの一員になってくれることはないのだ。
わたしは根が意地悪なのだろうか。普段は人には優しいのだけれど、気の合わない人のことは、意地悪をしたくなる。我慢はするけれど。
Instagramでも美月が姫たちを増やすと言っていたので「美月さん、いま姫たちは何人いるんですか?」と聞いてみた。
「何人いるのかなあ?中村さんに聞いてみましょか?」
もう何年も役者をやられているのだから、とっくの昔に50人超えてる気がしたのだ。
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