第6話 ズルイ女
とはいえ、わたしはまだ迷っていた。本当に拓也ひとりに絞れるのか?
4人に、イベント応援する、とわたしは言ったのだ。
拓也は3位、遅れて参加した久保田くん(ラガーマン風の)は、何故かファンが多く、事務所の人や大学の友達の応援もあり、どんどん他の人を追い抜いていっていた。
ダンサーのジョニーは、10位に入ったかと思えばまたすぐに下がり、というのを繰り返していた。
あとのひとりは、やはりたまたま入って話をしていたら、鹿児島の人で、同じ九州ということもあるし、穏やかな語り口と、趣味が三味線だというので、是非配信で披露して欲しいと言ったら、披露するというので、フォローしているのだ。名前は直人くんという。
拓也の配信する時間は、だいたいいつも22時。昼間、他の3人の配信があると、やはり観にいってしまう。
だけれど、やはりみんな芸能活動や大学に通っており、配信は夜が多いのだ。
同じ時間に配信していることもしばしば。そうすると優先してしまうのはやはり拓也のルームになってしまう。
拓也のルームには、わたしよりも前にファンになった、常連、といわれる女の子が何人かいる。数日遅れでも、わたしはその子たちには敵わない。絢香と真紀のことだ。このふたりは熱狂的な拓也ファンなのである。
絢香は、18歳の専門学生。プロフィール写真も載せてるので、拓也から「可愛い」という言葉をよくもらっている。悔しいので「わたしも可愛いとか言われてみたいわ」とコメントしてみる。すると拓也から「可愛いフレーズ言ってみて」と言われる。
この年で(年齢は明かしていないが拓也が32歳なので、同年代くらいだと思わせている)可愛いフレーズとか言えるわけがない。
絢香はツンデレだ。大嫌い!と言ったかと思えば、好きだから許すとか言う。拓也も絢香のことが可愛いのでわざと意地の悪いことを言うのだ。
真紀は、拓也に対して、好きという態度は出さない。だけども拓也への想いは誰よりも強いのだ。それ故に拓也のルームを荒らすような行為をしてしまうところがある。
そしてなにより真紀の気持ちが現れている証拠に、拓也がルームを開設したときからの、ファンの星投げによるポイントの累計ランキングがルーム内にあるのだけれど、飛び抜けての1位なのだ。
そしてイベント中も同じく、イベントの貢献ランキングも1位だ「わたしはツンでいきます」というわけのわからないことを言い、拓也に意地悪な言葉を投げかける。自称、拓也を弄る担当らしい。
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