第1話 不思議な出会い
不思議な夢を見る
内容は殆ど思い出せないが いつも同じ夢
朝 目が覚める 枕元には一冊の本
「読みながら寝ちゃったのね」
本の名前は 天人物語
「ミラ やっと起きた?早く顔洗いなさい ご飯できてるわよ」
母に急かされ顔を洗い服を着替え食卓に着く
「アナタ、いつもあの本読んでるわね」
「えぇ、大好きだもの」
王都ヴァーティアに伝わる御伽噺 天人物語
王都の上には、更に都市があるといわれそこに住む羽のついた天人と呼ばれる少年が世界を救う在り来りな子供向けのお話
「それより今日はセラの成人祭見に行くんでしょ?早くしないと遅れるわよ」
「大丈夫よ そんな急ぐほどの時間じゃないわ
行ってきます」
今日は妹の成人祭 私達の地域では隣村で
18歳になった子達を祝う祭りがある
「私も成人してからもう3年か…」
「 懐かしいわねこの場所も」
ラピスの森 とても綺麗で癒されるそんな幻想的な場所
川の流れる音 木々の騒めき 間から差し込む日差し 小鳥達の鳴き声 男の悲鳴 ーー
「……男の悲鳴……?」
「ァぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁあ!!!!!」
「空から…男…?」
体が地面に叩きつけられる音がした
普通の人間なら死んでいる
そう普通の人間なら ーー
「この人 まだ息がある どうして……?
それにこれは…羽……?」
2時間前 天上都市ケルトス
不思議な夢を見る
「何なんだここ毎日ずっと同じ夢…」
殆どの事は忘れてしまうが断片的な事は覚えている
「あの場所…いつも行く遺跡によく似てたな」
1年ほど前から俺は外の世界に興味を持ち
調べている
今は遺跡で手がかりを探しているが進展はここ半年程ない
「そんな気にしても仕方ないか」
俺は顔を洗い服を着替えて外へ出る
ここに住み始めて5年 この景色も見慣れたものだ
「あ!ノアお兄ちゃん!おはよ〜!」
「ニアか…今日も元気そうだなおはよう」
「おうノア!相変わらず目付きが悪ぃな!
今日もまた遺跡か!?」
「ガラムのオッサン…目付きは生まれつきだっての……」
近所の子供に、酒場のオッサン家族のいない俺にとってここラムベルク区のみんなは家族みたいなもんだ
都市を離れ端の方に歩くと遺跡がある
「ふぅ…さぁ今日はどの辺を探索するか…」
貧困地域の更に端など自分以外に立ち入る者がいるはずもなく遺跡はとてもさびれていて
風化も激しい
少し歩く
「ん…?あんな所に階段なんてあったか…?」
ほとんど調べ尽くした遺跡の見覚えのない階段を降りる事にした
「地下があるのは知らなかったな…今日は何か進展があるかも…って……ヴァ!?」
俺は足を滑らせ豪快に階段を転げ落ちる
床に体が叩きつけられる 骨が軋む
このようにコケるのは日常茶飯事だ
「痛……幸先いいと思ったらこれだよ……
ん…?人の歩いた跡があるな…誰かここに来てたのか…?」
痛みも引き体を起こし周りを調べる
どうやら自分ではない誰かがここを訪れたようだ
少し先へ進むとちょっと開けた場所に出た
隅々まで調べてみる
「上とは少し雰囲気が違うな…なんだあの石…何かの封印か?調べてみるか…」
石を手に取る すると、目の前が光で包まれた
後小さな妖精の様な物が姿を表した
「ん〜!久しぶりに石から出られたよ〜!
君が出してくれたんだね!?ありがとう!」
「なななななななんだお前!?妖精か!?本で見た魔物か!?理解が追いつかねぇ!!!」
とても驚き後ろに下がる
「メキッ」
嫌な音がしたと同時に床が抜けた
「嘘だろおいぃぃい…!」
声は虚しく下の方に消える
「あ…落ちちゃった……」
上では妖精がそう呟く 男にはもう聞こえない
「ァぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁあ!!!!!」
どれだけの時間落ちただろうか
羽を使い飛ぼうと何度も試したが、何故か飛べない
これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡る
「こういうのって女の子が落ちてくるもんなんだろうけど、男でも落ちることあるんだな…
あぁ…短い人生だったな……って死んでたまるかよ!まだ外の世界も見てない可愛い彼女にも出会ってない美味しい物も食べてない!
だからまだ、死ねないんだよ!」
もうすぐ地面俺は力を振り絞りこう叫ぶ
「衝撃軽減魔法!"プロテクト"!」
体が強く地面に叩きつけられる
体が燃えるように熱いこれまでにない痛さだ
遠のく意識の中誰かが俺の元に走り寄る
俺は目を閉じた
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