天地旅人の世界渡り

黒クジラ

プロローグ



1つの旅が終わり 次への世界の扉を開く時

「ねぇ ノア」

不意に彼女が俺の名を呼ぶ

「私と一緒に旅してて、楽しい?」


「楽しいなんて言葉じゃ足りないぐらいだ 君と同じものを食べて 同じ景色を見て 同じ事で笑って 泣いて そんな何気無い事ひとつひとつ全部が楽しく思えるよ」


ずっと続けばいい そう思う その為にも俺は 戦いなんてない ただみんなが笑って暮らせる世界を求めて旅をする

「そんなクサいセリフよく恥ずかしげもなくゆえるわね 貴方らしいわ」

「馬鹿にされてんのかよくわかんねぇな」

「間違いなく馬鹿にしてるわよ 次の世界もいい所だといいわね」

「サラッと人の事馬鹿にする所も 君らしいよ… ミラと一緒なら何処でも大丈夫だろ」

「クサすぎて息が出来ないからやめてもらえるかしら 冗談はこの辺にしてそろそろ行くわよ」

「そこまで言うか!? 先が思いやられるな…」

扉が開き 俺達が足を進めようとした時 背後で壁が壊される音がした


「何処行こうとしてんだ!?虫ケラ共!」

身の丈以上ある斧を両手に携えた大男がそこに立っていた

「誰だお前? 何の用だよ…」

「誰かなんてどうでもいいだろ!? ただ楽しめそうな奴がいたから来ただけだ さぁそこの女!俺と1戦闘りあおうぜ!」

狙いはミラだ 言動からするにあいつはかなりの戦闘狂 体格差も凄く 2人でも勝てるかは分からない 2人で逃げても扉が閉じられるまでにはまだ時間がある

「ミラ ここは俺が時間を稼ぐ だから先に行け」

「 でも貴方じゃ…」

彼女の言いたい事は分かる 俺はミラより遥かに弱い

「俺の得意ジャンルだ それに女置いて先には行けねぇよ」

「……死なないでね」

そう言って彼女は扉の向こうに姿を消した

扉が閉じるまであと5分程 なんとか持ちこたえる


「おいおい 逃がしてんじゃねぇよ… 俺はお前みたいなモヤシ男には興味がねぇんだ まぁ折角残ったんだ せいぜい楽しませてくれよ!?」

信じれない程の馬鹿力で大男は斧を投げる

威力も速さも桁違いだ 何より攻撃の幅が広すぎて反応しきれない かろうじての所で避ける


「やるじゃねぇか!まだもう一本あるぞ !」

避けたそばからまた投げてくる 投げる事しか頭にないのか戦闘バカ 流石に避けれない咄嗟に剣を抜き防ぐが 壁に叩きつけられる あの男の馬鹿力と斧の衝撃が重なって痛みは尋常ではない


「弱過ぎんだろ…お前 もういい お前殺して女の所行くわ」

彼女の所へ行くのはアイツじゃない 俺だ

「行かせねぇよ… 守るって約束したんだ 」

出会った日に約束した事 今もはっきり覚えている

「俺より弱いお前が!?どうやって!?力が!強さが!勝利こそが全てだ 弱い物は強い物に淘汰される運命なんだよ!守るだ!?約束だ!?弱い奴がゴチャゴチャ抜かしてんじゃねぇぞ!あぁ!?お前みたいなの見てるとムカつくんだよ さっさと死ねや!」

大男が斧を拾い走ってくる 渾身の力でまた投げる今度は二本同時に 拾ったそばから投げるってどこまで馬鹿なんだこの筋肉バカ


怒りで狙いが定まっていないのか 比較的簡単に避けれた

「言われ慣れたよ…そのセリフは」

「チョコマカと… 鬱陶しいんだよモヤシが!」

武器を失った大男は素手で殴りかかる 紙一重の所で拳を避け懐へ入り込む事が出来た

運命なんてクソ喰らえだ

「ゼロ距離だ 痛いじゃすまねぇぞ…

火炎衝撃魔法"フレイムインパクト"」

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