第16話 サッカー少年誕生

僕は それでも サッカーを誰かとプレイする事を諦められずにいた。


ある日の 休み時間、こっそりと中庭で、

僕はユニコーンとひとりで ヘディングやリフティングの練習をしていた。

ほどんどの子供は、広々とした校庭に散らばるから

中庭は誰もいなくて 僕が独り占めできるスペースだったのだ。


中庭は、校庭にはかなわない広さだったけれど

サッカースタジアムにはかなわないかもしれないけど

僕にとっては、凄く広く感じて なぜか少しソワソワした。


ユニコーンを軽く蹴り上げ、肩に乗せたり、足のくるぶしでキャッチしたり

いつものように リフティングをしていると


「すげー、どうやったら あんな事出来るんだよ!」


「おい!見てみろよー あんな蹴り 見たことないぜ 手品師みたいじゃん」


え? もしかして 僕の事?


僕しかいないよね? 僕は 周りをキョロキョロと見渡してしまった。


すると 話したこともない クラスの違う男の子が 興奮した様子で数人近寄ってきて


「おまえ すげーじゃん! サッカー上手すぎるぜ!」 


そして なぜか 恥ずかしくなってしまい 顔を真っ赤にして その場を立ち去ろうとした


「え?もう 終わり? もっと見たいぜ、見せてくれよ。もう1回見たい!」


僕は、ユニコーンを抱えて 耳まで真っ赤な状態になってるんじゃないか?ってほど

赤面して 心で葛藤した。 

そうしているうちに、体中の血液が心臓と顔に集中してきて、心臓がバクバクしてくると 気が遠くなりそうになった。


気が遠くなりそうになると、悪魔と天使のような 僕の中の2人が ささやき始めた。


天使「何事もなかったように 立ち去りなさい。大切なユニコーンを学校に持ってくるなんて だめでしょう?」


悪魔「こんな 悪ガキに 思いっきり いつもの ヘディング、リフティングの半分も見せつけてやれば、お前は学校1番の有名人になれるかもしれないぜ?」


天使「そんな乱暴な事しては いけません。自慢なんて してはいけないのよ。いつも謙虚でいなさいって インコさんにも言われてるでしょう?」


悪魔「実力があるのに 自慢して 何が悪い? それに この悪ガキたちは サッカーチームのメンバーだぞ? これは お前が認められるチャンスじゃないか?」


僕は もう 今までの僕の殻を破りたいんだ!

好きな事をするチャンスなら リフティングぐらい 見せてやる!


そう 悪魔にそそのかされて僕は、ユニコーンを 軽く蹴り上げ

今まで練習してきた 技という技を 軽く2、3個披露した。


それを見た 悪ガキ達は 言葉を失っていた。


数秒時間が止まったような状態となり 悪ガキのひとりがこうつぶやいた。


「凄すぎるんだけど、これは夢なのか?」


わー!! 大勢の歓声のような声があがった。


悪ガキの中のひとりが 


「君は、サッカーをどこで習ってるんだ?コーチは誰?」


「何年くらいリフティングを練習したら そんな技出来るようになるんだ?」


「僕にも 教えてくれよ! 僕たちの仲間にならないか?」


悪ガキ達の質問攻めにあった。


僕は いきなり 悪ガキたちの 憧れの人のような期待光線を受けて 羨望の眼差しはとても僕の胸に突き刺さるかのように痛かった。



「僕は 誰にも教わっていないんだ。」

と言っても 誰も信じてくれなかったし、ひとりサッカーを始めて3か月を過ぎた頃だという事も誰も信じようとは してくれなかった。


でも ひとつだけ 良い事があった。


僕は、ジュニアサッカーチームに歓迎されて 入る事が出来たのだ。


僕は、誰かとサッカーがしたかったのだから

悪魔のおかげで、念願のチームに入る事が出来たのだ。


これから 楽しみだ!

でも パスをしたことがない。。。

小学生にしては、小技は豊富かもしれないけど、パスがうまくできるか不安だった。






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