第15話 こっそりと河川敷

僕は 毎日家の庭でひとりサッカーの練習にも少し飽きてきて

誰かとサッカーをしたくなる欲求を沸々と抑えきれずにいた。


そこで、水曜日と土曜日に夕方河川敷で練習をしている

ジュニアサッカーチームを見に行ってみる事にした。


自宅から、自転車で20分程度走ると河川敷は見渡せる場所にあった。

とても 沢山の子供達が サッカーボールを追いかけまわしていて

その様子は、まるでアリの巣に餌を運んでいる働きアリのように感じた。


僕は、あまりの人数の多さに 圧倒されてしまい しばらくアリの大群の様子を

ぼーと眺める事しか出来ないでいた。


サッカーって とても人気があるんだ。

僕は そんな事も知らなかったのだ。


僕には あの中に入っていく勇気は とてもできない。。。

もし あの中に僕が入ったら 沢山のアリに踏みつぶされてしまいそうだ。


僕は小学校低学年のころ、体が弱く 体育の授業はほとんど見学をして過ごす事が多かった。


そのせいか、運動の輪に入る事に 抵抗があるのだ。

体育の授業で、僕が、みんなで飛ぶ 縄跳びの中に入る事が 怖くて 

入るタイミングを掴めないでオロオロしていた時

先生が僕の手を引いて 一緒に輪の中に入れてくれようとした事があった。


結果は、先生と一緒に僕は 縄にひっかかり、

蜘蛛の巣に絡まってしまったのだ。

僕はみんなで飛ぶ縄跳びの流を止めてしまった。

このまま蜘蛛に食べられてしまいたい。

みんなの「あーあ」という、残念そうな空気は耐えられない。


いつからか、僕は そんな経験からか 輪に入るという事に、

とても臆病になってしまったのだ。


自転車を走らせながら 家路に向かう途中 考えた。

僕は 本当にやりたい事があるのに それなのに

行動できずにいる。


なんて 情けないんだろう。

子供のころの体育の見学は 言い訳にすぎない

もう体は動かせるんだから 普通の子供のように

みんなで サッカーを楽しめばいいんじゃないか。


僕は 影からこっそり見ているだけで

「ま~ぜて」

が言えないのかもしれない。


言おうとするんだけど 顔がこわばるのだ。

人慣れが 出来ていないのかもしれない。。。


大人びた子供なんだから

そういう所は、大人のように 出来る人になりたい!


都合の悪い所だけ 子供で

都合の良い所だけ、、、


都合の良い所だけ 僕は どっちなんだろう?



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