第14話 ひとりサッカーをはじめる

僕は、お気に入りのユニコーンを手に入れて ウキウキだった。


そして、ユニコーンを選んだ理由には、歩く電卓さんが連れて行ってくれた

サッカーの試合で見たユニフォームに、似ていたのだ。


黄色と青の絶妙なコントラストなユニコーンは、持っているだけで

自分が強くなれたような気分になれた。


そして サッカーシューズもお揃いのカラーにしたのだ。

自分でも 消極的で内向的で恥ずかしがりやな僕が

大胆にも こんな派手な色を選ぶなんて 驚いている。


インコさんは 気を利かせて サッカーの練習用に

黄色のTシャツと青色のパンツまで 用意してくれた。


僕は インコさんに愛されてると感じた。


昔、僕は、インコさんが 僕の誕生日の事で 電話をかけまくっていた事を

すごく冷静に 遠くから自分の事じゃない 他人事のように インコさんの様子を半分迷惑がりながら 見ていた事がある。


でも インコさんは 僕の事を本当に心配してくれたんだよね。 


僕は 大人びていて インコさんには迷惑をかけないように心がけていたような気もするけど、結局は、インコさんを不安にさせたり 白い大きな箱に連れていかれて

口裂け女に尋問されたり、僕は余計なお世話だと思っていたけど

全部 インコさんと 歩く電卓さんの 愛情だったのだと 今更だけど 愛を実感した。


僕は サッカーシューズに足を差し入れてみた。

真新しいシューズは、少し硬くて 僕の足を受け入れてくれるか?

少し 不安になった。


でも そんな事は すぐに忘れるほど 僕はひとりサッカーの練習に夢中になり

時間を忘れるくらいひとり練習をしていた。


僕は、最初は 自分の家の庭でひとりで練習をしていたけど

すぐにチームに入りたい気持ちになった。


毎日のように ひとりで練習をしていたせいなのか

ヘディングや、リフティングが 得意になっていた。


特に リフティングは、自分の頭を超えて後ろ側にユニコーンを投げて

足を後ろから蹴り上げて 自分の頭をまた逆側から投げ入れて正面でキャッチする。


こんな 巧妙な技まで 10回中7回くらいの成功率だったけど

出来るようになっていた。


ひとりで練習していると 相手がいないから リフティングが上手くなったようでもある。


最初は、リフティングやヘディングの名前さえ 知らなかった。

僕が庭で一生懸命練習している様子を見た 歩く電卓さんが


「俊、それは リフティングというんだよ。そしてこういうのがヘディングというんだ。」

と不慣れそうな 歩く電卓さんは、 僕にわかりやすいように ボールを手に取り

頭でボールを蹴る?様子を見せてくれた。


「そうか、こうやって頭でユニコーンを受ける事を ヘディングというのか」

歩く電卓さんは、少しはサッカーの事を知っているようだったが、その先はなかった。


僕は、歩く電卓さん以外の誰かとサッカーがしたくなった。

人と関わりたくなったのだ。





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