第8話 透き通る青いガラスの小瓶の中身

透き通る青いガラスの小瓶は 僕の宝物だった。


いつも 心細くなったり 大人に冷たい視線を受けたり

心が寂しくなると 僕はその青い小瓶を握りしめて眠りについたりしていた。。。


心が落ち着かない時は この青い小瓶があると 心が落ち着いて とても安心できた。まるで母親に甘える赤ん坊のような 揺りかごのような存在。


僕は 本を読むことも好きな子供だったので

寝る前には いつも読書をしている事が多かった。


ある日 心細かった僕は そんな心境なのに 悲しい結末の本を読んでしまい

余計に 心細さが強まり 瓶を強く握りしめて寝床についた。


でも そういう時に限って なかなか眠りにつけないものだ。

寝返りを何度も繰り返しても なかなか寝付けない。


羊を数えてみようかな。

羊が1匹 羊が2匹 羊が2匹なら オスとメスなら 子供が生まれて

羊が2匹と子羊が1匹 そして 次に弟が生まれたら 羊が2匹と子羊が2匹。。。合計4匹。。。


素直に 羊が1引き 羊が2匹 羊が3匹 羊が4匹。。。

というカウントが 僕には 出来ない。。。


そんな事を考えていると 余計に眠りにつけなくなる


ふと 寝返りを思いっきりしてしまった瞬間!

そのはずみで 僕の大切な 青い小瓶が 手を離してしまった。。。


あっ・・・


青い小瓶は 僕の手から 遠く離れてしまい

冷たい床に 叩きつけられてしまった。


青い小瓶は 無言のまま 形が変化してしまった


こぼれた液体は、スライムのような手足をのばした生き物のような形になってしまった。


「ごめんね。僕のせいで 揺りかごからスライムになっちゃったね。」


スライムのような生き物は 無言で僕を睨んでいる。


きっとカタツムリの殻を壊されたような心境なんだ!

どうしよう。。。家を壊されたら 寒いし困るよね。


「ごめんよ。でも 僕とこれからも一緒にいようね。」


僕は スライムに そう伝えると お気に入りのタオルケットに含ませた。


その日から そのタオルケットは僕の 第2の揺りかご となり

洗わずに ずっと一緒に夜を共にしていた。


その日は スライムをタオルケットに合体させた後、

殻の破片は ガムテープで 片付けていた。


ガラスの破片は 鋭く尖っていて とても危険に感じるけれど

キラキラとしていて とても 眩しく感じた。


僕は お母さんに内緒で 瓶のカケラを捨てようかと思っていたけれど

殻の破片を大切に 隠しておきたい気分になっていた。


僕は お菓子の缶の中に スライムのお家を入れた。

どうしても 僕は スライムのお家を捨てる事ができずにいたのだ。


そして 何事もなかったように タオルケット 第2の揺りかごに

包まれて寝てしまった。


第2の揺りかごは 濡れているので 少しひんやりとして

ミントの香りが いつもの 何十倍もしていたけれど


僕を いつも以上に癒し、安心させてくれて

とても贅沢な気持ちにさせてくれた。


僕は 眠りにつきながら こう思った。

最初から こうすれば良かったのではないか?


これは 僕が眠れずにいた事を 心配した ミントの妖精が

教えてくれたのかもしれない。。。


そう思うと ミントの妖精の姿を 探してしまいたくなる。

部屋のどこかにいるのではないか?


そんな事を考えている うちに ウトウトと 眠くなり

僕は 第2の揺りかごと 一緒に まるで液体のように溶けだしてしまうかのように


眠りについた。






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