第3話 能面のような魔女

能面のような魔女は 僕に色々と尋問をしてきた。

最初は魔女に視えたのに、尋問を受けているうちに、

だんだん魔女は違う人物に感じてきた。


その姿は 魔女というより 真っ赤な口紅をしていて

活舌よく尋問してくるので、まるで口裂け女のように感じた。


口裂け女は容赦なく尋問してくる。

「学校は楽しくないの?」

「お友達とは、仲良く遊ばないのは どうしてかな?」


その恐い口で僕を食べないでくれ! その大きな紅い口がとても怖い。。。

そう感じた僕は、萎縮してしまい固まって何も答えられなくなってしまった。


学校は楽しくないわけではない。

友達と遊ぶ鬼ごっこやゲームは退屈で 数分で飽きてしまう。

みんながどうしてそんなに夢中になれるのか?のほうが理解できないでいる。


「僕はやはり 変なのかもしれない? どうしてみんなと同じように楽しめないのだろう?」


そう考えていると、まるで水泳の授業中におぼれそうになった感覚と似た

何とも言えない水の中にいるようなぼんやりした状態の自分がいた。


魔女が何か僕に色々と話しかけている。

でも 僕は水の中にいて 何を聞かれているのか 聞き取れない。

いや 多分質問の内容を聞き取れたとしても 僕にも答えなんてわからないんだから

このまま水の中にいて熱帯魚になってしまいたいと 思った。


魔女の尋問から 逃げる方法を知った僕は どれくらい熱帯魚になっていたのだろう。。。

魔女の言葉から逃避していく中で ぼんやり意識を失いそうになった途端


鼻の粘膜にこびりつくような、身体全体にまとわりつくような甘ったるい芳香剤のような匂いで目が覚めてしまった。


僕は水揚げされた魚のように まな板の上に出てきてしまった。

芳香剤のような匂いは、魔女の香水だったようで、

それはとても僕の頭をくらくらさせた。


「どうして人と仲良くしないの?」

(どうして魔女と仲良くしないの?)


魔女の尋問は続いていた。

僕は何をしていたのだろう。。。?


そっか、この尋問は魔女と仲良くすれば 終わるのかも。。。?


「先生、僕は ひとりでいたいんです」

(僕は熱帯魚になりたいんです)


魔女は 能面だったはずなのに、あきれたような顔をして


「お友達は作らなきゃだめなのよ」


そう言われても、わざわざ作るのが 友達なのだろうか?




その夜、 お母さんが心配して色々伝えたのか?

お父さんに呼び出された



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