メモ_悪夢

@kitunekon_kon

第1話 乗り降り

黒塗のセダン中央、両隣には誰もいない。前方には黒いスーツを着た男が二人、それぞれ乗っていた。私は後部座席中央から、曇天の中、街中の広い道路を進むさまを見ていた。 街を通り過ぎ、あたり一面茶色い短い草しか見えなくなった。しばらく同じ風景が続くことだろう。

数順分後、車は徐々に速度を落とし、停まった。左を向くと長い金髪の女性が感じのいい笑顔で、近づいてきた。彼女は前の運転手と少し話した後、私の右隣に座った。そのまた数順分後には、男性が同じようにやってきて、私の左隣に座った。二人ともシートベルトはしていなかった。途中小さな町のガソリンスタンドへよった後、またしばらく車を走らせていると、大きな橋がみえてきた。

橋に近づくにつれ、道路の状況はアスファルトが砕け、所々穴があったり、転がった石が目立つようになった。道の近くには赤いコーンや黄色いクレーンがみえた。車は橋よりもだいぶ前で停まった。突然後方の左右のドアが開けられ、女性と男性が何者かに引っ張り出された。女性も男性も悲鳴を上げて、車から出ることに抵抗したが、最終的には引きずり出された。私はただそれをみていた。もし彼らに協力したら、自分がどうなるか分からなかったからだ。その後引っ張り出した人たちによって、二人のバックパッカーは一人ずつ高く放り投げられた。彼女たちはきれいな放物線を描いたのち、頭から地面に落ちていった。おそらく首の骨が折れている事だろう。その後、車は何事もなかったかのように、進んでいった。

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