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サトハラ エミ
里原笑美は重い瞼をあけた。カーテンをひらくと、強い日差しが部屋を明るくする。
「今日からまた学校かぁ...」
笑美は溜息をついた。学校が大嫌いなのだ。毎日、顔が気にくわない、と言われいじめを受けていた。殴られ蹴られ、体も心も限界が近い。今は中学三年で卒業も近いので、もう少しの辛抱だと笑美は自分に言い聞かせていた。
「顔洗って着替えなきゃ」
重い体を起き上がらせ、洗面台へと向かう。顔を洗い終え、制服に着替える。朝食はとらない。いじめが始まってから、食欲がなくなってしまったからだ。着替えを終え、テレビをつけた。ちょうどニュースがやっていたので、見てみた。
「おはようございます。朝のニュースのお時間です」
「最近噂されているカップルゲーム。謎に包まれています」
「またカップルゲームのことか。つまんないな」
笑美はそう呟き、テレビの電源を切った。最近笑美の住む街で噂になっているカップルゲーム。カップルゲームとインターネットで検索すると、強制的にサイトにとばされる。そのサイトにカップルの名前を入力すると、その二人に復讐してくれるというのだ。笑美はいたずら半分でいじめてくるカップルの名前を入力した。笑美は時計を見る。
「やば、遅刻しちゃう」
笑美は家から出ると、走って学校に向かった。遅刻寸前で教室に入って、カバンの中身を机に入れた。いじめの二人は欠席だった。次の日もまた次の日も。笑美の心の中で黒い何かが渦巻いていた。
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