第10話 voted...1

身長:170cm以上

最終学歴:大卒以上

年収:500万以上


この辺りは譲れなくて、


住まい:ひとり暮らし

兄弟構成:次男


であれば尚良い。


あと見た目があまりにもイケてないのはダメ。

顔は何だかんだ毎日拝むものなのだから、妥協はしない方がいい。



30歳が迫り、周りは既婚者が増え、子どもが産まれたなんて話もちらほら。

この間、友だちの結婚式のためのドレスを取りに帰ったら

「あんたの結婚はいつになるの?相手がいないんなら、母さんいい人知ってるから会ってみなさいよ。」

なんて言われたから、お断りしてしょうがなく婚活アプリを始めてみた。



惰性で動かしている人差し指で、画面に条件を入力し検索をかける。

思いの外わんさかとヒットした。それをスクロールしながら私の死にかけの目でふるいにかける。ナシ、ナシ、ナシ、保留、ナシ、ナシ、あり…


マッチングした男と連絡をとり合うのだが、このやり取りが煩わしい。同じ会話を男の数だけ繰り返さねばならない。相手が気持ちよく連絡できるような心配りも必要だ。私も一人の人間なので、こちらの気遣いにも関わらず不愉快な態度を示す男には、罵声を送りつけてたまに憂さ晴らしをしていた。


当たり障りのない会話が続けられた相手とは、会うという次のステップに進められる。お酒を片手に今までしたメッセージのやり取りを振り返る。ここで注意しなければならないことは、会う前にメッセージを読み返すということ。誰にどんな会話をしたか忘れてしまっているからだ。

ここまでをそつなくこなす事ができれば、2回目のデートを求められる。


が、私のエネルギーは大抵ここで切れてしまう。これ以上話すことはないし、相手を知りたいと思わない、言ってしまえばどうだっていい。相手の気持ちなんて知ったこっちゃない。連絡先をブロックして、次の男とのやり取りを進める。




婚活アプリについて一通り分かり終えた頃、アプリを始めた当初から連絡を取っていた男と会うことになった。今までも何度かその話は出ていたが、お互いの予定が合わずダラダラと連絡だけ取っていたのだ。


身長:172cm

最終学歴:大学院卒

年収:600万

兄弟構成:長男

住まい:実家

顔も私がタイプの甘いマスク。


金曜日の夜、お互いの家から近い飲み屋で会うことになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る