第4話parallel...inside of my heart

帰宅すると朝ごはんの洗い物がシンクにそのままになっており、いつも使わないブランケットがソファの上にある。昨日まで二本立てかけてあった歯ブラシは、一本だけそこにあった。


私はいつも通り、ソファに横になる。ふわりとさっきまで一緒にいた彼のにおいがした。心地よくてすべてを包んでくれるようで、すーっと涙が一筋流れた。涙なんて久しぶりに流れて、自分でも驚きながら、でも誰にも見られたくなくてブランケットを頭から被った。すると彼のにおいで一杯になり、彼に抱きしめられているようで更に泣けてきた。


彼と居るのが心地よかった。私の生活の一部にすっと溶け込み、コントラストを強くする。お互いの言いたいことが、手に取るように分かった。知らないことは、いつまででも話し合えた。

こんな感覚でいるのは私だけなのだろうか。

もうずっとずっと…。


ダメな部分をちゃんと叱ってくれる。自分の考えを伝えてくれる。良い部分を褒めてくれる。頑張りを認めてくれる。どんなにとりとめのない話もちゃんと聞いてくれる。どんどんのめり込んでいくしかないじゃないか。

弱い部分を見たら助けたいし、力になりたい。彼が私にしてくれたように、私も彼の苦しみを取り除きたい。彼のとなりにすっと溶け込んで、彼の世界を鮮やかに彩りたい。

それができるのは自分だけでありたい。


ワガママになっていく。想いが膨れ上がっていく。




でも結局、次に会うときも。


いつまでたっても平行線なんだ。

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