第64話 時計(エドガー)

「 時計(エドガー) 」


 あなたは壊れた時計が好きだった

 だから壊れた人間のそばにいたがった

傍らにいるアランが言う

時間のなかで言われた

時間は決して止まらないから壊れることがで

 きない

壊れるとしたらそのときはすべてがなくなっ

 てしまうとき

時計が壊れているうちはまだよかった

時計ならスタートを早めることもできるし遅

 らせることもできる

しかし

その進み方は変えることができない

あなたと時間は同じものでできていたから

進み方を変えてしまったらあなたは別のもの

 になってしまう

あなたは

あなたで生まれることができたのだから

それはその時間のその時計のおかげ

あなたはやはりこの時計を持っているべきだ

 とおもう


時計が壊れている

あなたも壊れている

あなたは壊れた人間のそばにいたがる

あなたはスタートさせることができた時間の

 なかに佇んでいる


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