第10話 プラスチック
「 プラスチック 」
わたしたちのなかには浮かんでいるなかまもいる
どこまでも漂っていける
いちめんの星空で暗い藍色に白っぽい雲
雲なんだろうなあ雲は雲なんだろう
雲は知らないうちに増殖したり薄くなって見えなくなったりする
ここは北半球だから北極星をさがさないと
星を見失ってしまうと針路がわからなくなる
漂っているわたしが言っても仕方ないことだけれど
ピンクとか色々な友達と知らないうちに集団になり
たくさん集まって川のようになっている
誰だ?
天の川が映っているなんてファンタジーな放言をしているのは?
ゆらゆらと揺れてみえるのがきれいだとか
ピンクが集まるかと思えば
白や薄いきいろが隙間に入ったり離れたり
ブルーやグリーンは暗いからよく見えない
でもこのまま流れてどこまでいくのだろう
いつのまにか友達ともはぐれてひとりになってしまうのだろうか
だいぶまえに旅立った友達からは
風の便りにほんとうに風の便りに赤道貿易風のかすかな便りに
気が付いたら知らない土地の浜辺に打ち上げられていた
いつのまにか色々な国の切れ端がプリントされたなかまがいて
付いたり離れたり
経験したことのないような空気の浜辺に上がっていた
沖にはあしかが群れていて
食べられてしまうかと思ったけれど彼らのほうが利口だった
ウミガメやクジラのようにいっきに飲み込んだりはしなかった
わたしもそうなるのかなあ同じ運命が待ち受けているのかなあ
でもきょうは星空がきれい
星もよく見るとわたしたちと同じようにほとんどがホワイトだけれど
ブルーやレッドも混じっているみたい
そして海原はおおきくうねっているけれど限りなくしずかで
わたしたちを捨てた様々なパーソナルたちは忘れていると思う
賢いパーソナルたちはやっきになっている
どうしたいのかしら何ができるのかしら本気なのかしら
わたしたちは無くならない
漂うのは生まれてきたわたしたちのチカラ
何か月も何年も漂いながら次の目的地をさがしていく
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