第9話 ルーペ

「 ルーペ 」


光りは途切れない。光りは大切だと教わったこともなく。生まれたときから光りを浴びて。


光りを欲しがっている奴ら。何処にでもいる。どうしてこんなにいるんだ。人類が何十億に増えたとか。絶滅危惧種がどうだとか。増えれば歓迎。増えすぎたら駆除。いなくなったらあわてふためく。光りをエネルギーに変えられる?質問することも忘れていた。


放射能はきついんだ。彼らは平気で細胞を壊しにかかる。彼らは直線だ。ずどんと来る。それも途切れない。気の遠くなるほど兵隊が一直線に並んでいる。整列させた奴ら?奴らは誰でもなかった。


この世に直線はあったろうか。生まれたときから曲線で。曲線のなかから生まれたわたしたちは既に曲線で。真っ直ぐ投げようとしてもすぐに曲がってしまい。曲がり方は方程式で解けていく。


何かかけらでも拾えた?有難いのはわたしたちが一瞬で終わらなかったことだろう?考える時間があったということだ。

光りは途切れない。光りは大切だと教わったこともなく。わたしたちは何度もルーペで紙を焦がしている。


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