第8話 硬貨について〜コロナ以前

「  硬貨について〜コロナ以前  」


握られる、人肌の温もりも伝えられる、あの人の手からその人の手へ、両手で渡す人もいる、最近は自販機もやたらと多い、訳もなく無造作に受け取られる、指先で捜される


財布に仕舞われる、恥ずかしがっている? だからいつも隠れている、

相手に手渡されたら所有者と縁を切る、

againはない、忘れられる、入れ替わる、入れ替わったことに所有者は関心がない


有るのは鋳造された価値だけだ

価値も動くらしい、量だけがものをいう

求められるのは後始末だけかも知れない

マネーロンダリングなんて硬貨の話しではないけれど、所有も崩れていく

縁は切りたくない、量は多いほうがよい、

重いものは嫌われる


紙幣のことはよく分からない

棲む世界が違うと思う、マネーも電子化の時代に突入か? データが消えたら何が残る? データ=わたしが消える?

データ育ち、データ出身、本籍はデータです、なんて


硬貨を磨いている

働いてくれた従業員に価値を手渡す為に

紙幣の隙間から沢山出てくる硬貨を少しでも綺麗にする、ボロ布のようなわたしでも誰かに教わった真心なのかも知れない

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