第6話 次元について
「 次元について 」
わたしはページに描かれていた
わたしはとあるページに一つの線で描かれていた
誰かが次々とページを抜き取り筒状にまるめていく
ページは筒状になる、次々と筒状が作られていく
わたしはようやく広い空間に踊り出ることができ、線はZ軸を得て立体に立ち上がろうとして、 立体となっていく
わたしから眺めると、筒となったページは限りなく向こうまで線となって伸びていっているように見える
しかしそれもわずかな間のできごとで
わたしは今度は小さく小さくなって縮んでいき(縮んでいくようにわたしには思えた)
小さくなるにしたがって、筒状のページは平面に戻っていく(戻っていくように見えた)
折角平面から脱出できたのに、再びわたしは平面に隙間なく貼り付く!
今日も空間から話し声だけが聞こえてくる
「ページをいくら筒状にまるめていっても、わたしたちの距離からは一本の線になってしまうのね」
「線といっても拡大すると表面はX軸とY軸だし、断面は筒でZ軸も出てきてしまう」
「一本の線て何なのかしら?」
「それを言ったら点だって拡大すれば円になりX軸とY軸が必要になる」
「一つの点なんて探しても見つかる保証すら無いじゃない?」
「でも、点と線がないとわれわれの説明がつかない、X軸なんて軸そのものか線なんだから、線も点の無限なる連続であるとかね」
X軸とY軸の世界に連れ戻されたわたしにはZ軸の物体がページを横切る気配を感じることしかできなくなった
ページを動いていく影ぼうしのかたちからZ軸を想像するしかなくなっていた
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