第4話 ワン株記念日
株を買った、興味本位で。とはいっても、単元未満株といって、一株単位で買えるお遊びみたいな取引だ。数千円から売買できる代わりに、株主優待を受けられなかったり、売買のタイミングが決められていたりする。例えばマネックス証券の場合、単元未満株の注文はその日の午前中まで、取引は午後の取引開始時に一回のみと決まっている。ドラマや漫画でよく見るデイトレーダーのような売買はできない。まぁ、自分のような初心者サラリーマンにはちょうどいい。
さて、どの株を買うかだが、あまり難しく考えず、自分のお気に入りの会社や、まわりで景気の良さそうな会社の株を1万円ずつ、合計10万円購入することにした。例えば、
ドンキホーテ:近所に大型店舗が建った。お客さん来そう、最初のうちは。
ぴあ:会社の近くにでっかいイベントホールを建てている。完成したら儲かりそう。
アミューズ:Perfumeや星野源が好き。オリンピック効果も期待。
サントリー:プレモルやオールフリー、ウィスキーをよく飲む。
などなど。こんな短絡的な買い方だが、まずは自分の直感を信じてみたい。
株を買って数日。当たり前のことだが、損益などジュース代程度だ。たかが知れている。それなのに、株価のちょっとした動向が、こんなに気になるとは思わなかった。株価が100円でも上がったり下がったりすると、なんでそうなったんだろうと考えてしまう。今まで気にもとめなかった世界に思いを馳せる。これは面白い。
下手なことがない限り永続的にこのワクワクを感じられるとしたら、こんなにコスパのいい娯楽はないかもしれない。ハマりすぎ注意だ。手応えを感じたら、通常の株取引にも挑戦してみようかな…。
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