第17話「邪道な食べ物?(うーん美味なのじゃ。にゃーん)」

「はい、スプーン。……、おい、ミナ、そのプリンそのまま食べるのか?」


「なんじゃ、こやつはプリンと言うのか、プリン、黄色い物体で美味しいそうな雰囲気しか感じられないモノよ。さてわらわの口に……、おい石川何をしている。なぜプリンの中に黒い液体を入れるのじゃ?」


「決まってるだろう。これを入れたら、濃厚さが深まって高級食材になるんだよ。……お前に美味しいものを食べさせたいそれだけの一心でだな」

 俺はそんなことを言いながら、手に持っていた醤油をちょこっと入れたのだ。

「これ程までにウソ発見器があればと思った事はないのう。だが、その心意気よしなのじゃ。下僕としての気持ちが芽生えてきたのかの」

 ミナは一瞬不安そうな顔を見せるが、何か納得したかのようにうんうんと頷いた。


「混ぜると美味しくなるよ。これは日本人(一部)がもっとも美味しいと噂にしている料理の一つだ」


「日本人?それは何かは知らないが、美味しくなるのであればいただくかの」

 ミナのワクワクな微笑みに俺は良心を痛みながらも、どうぞと促した。ミナはぱくりと口に入れる。

「…………」

 返事がない。やはりマズくて固まってしまったのだろうか。醤油とプリンは合わなかったか。

「おい、大丈夫か?無理するんじゃないぞ」

 俺はそうミナに言った。次の瞬間にミナは両手を上にあげる。

「なんじゃ、この濃厚な味は。この前魔王城で食べたことがある味じゃ、なんて言ったけのう、そうウニ、ウニの味じゃ」


「マジかよ。そんな味が再現出来てるはずは……」

 ぱくりとミナの食べていたプリン(醤油入り)を一口口にする。

「あ、ウニだわ。これ」

 食べたことなかったけど、予想以上にウニだった。濃厚だった。と言うか、異世界にもウニって存在していたのか。それはそれで新たな発見ではあるけれど。

「あ、石川食べるんじゃない、それはわらわのじゃ~」

 ミナは俺が手に持っていたプリンをすぐさま、手に収めた。満面の笑みを浮かべながら、至福の時を感じているかのようにプリンを食べていた。

「だが、思った味じゃなかったのじゃ……、甘くてわらわの口を幸せにしてくれる味だと思ったのじゃがの~」

 ミナの時折見せる寂しそうな顔に、俺は罪悪感を感じながら、

「…………、また新しいの買ってくるよ」

 そう、ミナの頭を撫でながら言っていた。


「にゃーんにゃーん」

 ちょっと待てって、ミー。今からおやつ出すから。

 テーブルの上にある棚から、チュールを取り出すと、開けてミーの口近くに寄せる。

「にゃ~~~~ん」

 勢いよくぺろぺろとなめるミー。一本分のチュールが瞬く間になくなっていく。床に落ちた残骸までもぺろりと食べている。

「おいおい、きたないぞ。そんなのは食べるんじゃない」

「にゃーん」

 愛らしい姿で舌を出しながら俺を見てくる愛猫に、頭を撫でてやる。

「にゃーんにゃん」

 そう言いながら愛猫のミーは、満足したのかいつもの日が当たるミーのベットに向かった。

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