第7話「目の前は殺風景の温泉でした。(思惑があるようです)」
「なんだよ。この殺風景の温泉はよ。目の前に温泉しかないじゃん。湯しかないじゃん」
俺が見た景色は。天然の岩の中に湯がはってあるだけだった。
「にゃーん。仕方にゃいニャン。温泉施設を呼び出したらこんなものだったからニャン。それにお風呂なんて、何回かしか入ったことニャいし、分からにゃいニャン」
手の甲をぺろぺろと舐めながら、俺に言う。こいつ本当に猫みたいな感じだな。俺は「そうなのか」とだけ言いながら、ふと考える。俺の部屋の押し入れはもうどうにもならないとして、俺の部屋に温泉が出来たんだ。それはそれで激熱イベントだろ。これって。タダで天然の温泉に入れるのは、気分がいいしな。しかもマンション暮らしで天然温泉。ここは俺だけの温泉施設と考えたらうまい話なんじゃないのか。
「そうだ、この殺風景の温泉をもっと温泉ぽくしようぜ。なんというか、もっと本格的な温泉に。例えば石鹸とかたらいとか買ってきてよ。物を置くだけでも違ってくると思うしな」
「にゃーん。さすがご主人様だニャン。切り替えが早いニャン」
ミィは温泉に浸かりながら、顔だけ出しながら言う。俺はと言うと、善は急げとばかりに部屋に戻ろうと歩き出す。
「それじゃ俺は百均ショップや業務スーパーなどで品を備えてくるから、お前はそこで待っててくれ。後、俺の飼い猫のミーが見かけたらここに置いてるチュールを食べさせてくれ」
「にゃーーーーン♪」
返事はしてくれたみたいだ。さてと俺は俺で楽園作りに頑張りますか。
俺は部屋にいったん戻り、財布を片手に、部屋から飛び出した。
「ふぅ、これだけあれば大丈夫か」
俺は両手に荷物を抱えながら、部屋に入る。すると今まで姿を見せていなかった。三毛猫のミーがすり寄ってきた。
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