第5話「案外ちょろかったニャン、ニャン」
そんなことを口走った猫耳少女に、口をぽかんとさせながら数秒間止まりながら、ハッとする。
「ていうかここはどこだよ。なんで俺の衣類が無くなって、洞窟になってるんだよ。認識バリアーって言ったな。もしかしてお前がやったのか?」
俺は猫耳少女に問い立てると、その少女は「にゃん」とだけ言い、
「押し入れの場所と異世界の場所を少しの間空間を入れ変えただけだニャン。大したことをしてはいにゃいニャン。ご主人様」
平然とした顔で言ってくるオレンジ色の髪をまとう全裸猫耳少女は真顔で言った。
「それじゃ元に戻してくれよ。大切なスーツとか服とかあるんだからな」
「それは無理だニャン。ご主人様が勝手にこのフロアに入ってしまって認識フロアーが入れ替わってしまったニャン。これはご主人さまのせいだニャン」
「は?それじゃ俺はこの空間に入り込んだから戻せないと?」
「そうなるニャン。だからごめんねだニャン」
おいおい、これは損害賠償ものじゃない?押し入れに温泉作ってしまいましたとか、絶対にマンションの担当者になんか口が裂けても言えない。そして何よりも……。
「どうにかならないのかよ。俺の部屋、押し入れになんかに異世界への入り口ができたなんて嫌だぜ。そんな一般人の俺はそんなヘンテコなことで有名になんかになりたくないんだけど」
「うーん。他人には厳禁だニャン。それに一つぐらい秘密を持ってたほうがモテると思うニャン」
「そう……、そんなものなのか?」
なんだかこの少女に言いくるめられている気がするのだけど、仕方がない、これ以上どうしようもないのなら。
「ちょろいニャン」
「ん?なんか言ったか?」
何か俺を罵倒するような事が聞こえてきた気がする。目の前にいる猫娘は手を横に振りながら「ニャンでもにゃいニャン」と言いながら続ける。
「ああ、戻す方法は一つだけあるだニャン」
猫耳少女は人差し指を上にあげて、目をつぶりながら、語り掛けるように言った。
俺は目を輝かせながら、猫耳少女を見る。俺は少しの期待を胸に持ちながら口を開け、
「そんな方法がまだあるのか?あるんならやってくれよな」
「ここのマンション自体を取り壊すことだニャン」
堂々と猫耳少女は真顔で言いながら言う。そんな猫耳少女の聞いた直後に俺は、
「出来るか!」とだけ叫んでいた。
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