3 今、幸せかい…?

それからほぼ毎日、私たちは人妻サイトを通じてメッセージのやり取りや電話でいろいろな話をしました。


もちろん私は、人妻ミサキとして旦那さんと子どもがいる設定で話をするので、あまり詳しいことは言えません。

ただ、こんな生活がしたいという夢の話をしていただけでした。


純さんは優しく私の夢の話を信じて聞いてくれ、純さんも私にいろいろな話をしてくれました。


純さんは、若い頃から長く付き合っていた恋人との結婚を両親に反対され、失意の中すすめられるままにお見合いをして半年後に結婚したけれど、結局うまくいかなくて離婚したのだそう。


私は思わず、私も同じバツイチです!と言いそうになり…


あ、そうなんですね。

じゃあ今は?


どうか独身でありますように…

私は純さんが再婚していなければいいなと心のどこかで願っていました。


一応、独身だけど…



え…?一応?

それってどういうことですか?


私は思わず聞いてしまいました。


彼女というか…

一緒に住んでいる奥さんみたいな感じの人がいるよ。籍は入れてないけどパートナーみたいなものかな。


それを聞いて、私はあまりにもショックで黙り込んでしまいました。


純さんは少しびっくりして


大丈夫?

僕、何かおかしなこと言ったかな?


心配そうに、そう言ってくれました。



あ、いえ…


実は私もバツイチだったんですよ。

今の夫とは再婚同士なんです。

だから、純さんがその方と再婚されたら私たち同じ立場になりますね。

なんだかW不倫みたいになりそうですね…


何とかショックを隠して言いました。


うーん…

再婚か…

まあ、僕も彼女も若くないし、老後をひとりで過ごすのは寂しいからね。

すぐに、じゃなくても、そのうち入籍するかな…


あ、そ、そうなんですね…

私はもう、既に涙目でした。


花粉症の季節じゃなかったら

きっとごまかすことができなかったでしょう。


急に鼻声になった私は、わざとらしく


すみません。

ちょっと花粉症が酷くなったので、一旦ログアウトしていいですか…


そう言って、純さんから逃げようとしました。



すると、純さんは


あ、ちょっと待って!

ミサキちゃんは、今、幸せかい?


確かめるような

慰めるような


今までで一番優しい声で、純さんは私に問いかけました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る