第64話 カンナビ

 それは、高さが幅の3分の2ほどのプロポーションの直方体で、事務机の半分程の大きさだ。外周を包帯のようなもので幾重にも巻かれているので、単なる直方体なのか、細部があるものなのかは判別がつかない。ボスは腕を組んで、机を囲む人々を見渡し、誰かが口を開くのを待っていた。もちろんこうしている間にも、この営業二課の様子は広報部に送られており、口を動かさないボスの指示によって、部下達は目まぐるしい探索活動を継続している。


「隊毛頭象のデータは! そうか。で、室田のここ一週間の業務報告は? よし。血又、一週間以内の応接室の使用履歴と、入館者リストの検索。棚部は工辞基の業務報告を洗ってくれ。何? 昨日付けのデータがまだ出てきてない? 眠たい事言ってんじゃねえよ。会社に履歴が無かったら圏内の交通機関、飲食店のカメラをチェックすりゃいいだろう。足取りが掴めれば情報は集められるんだから。一々悩んでるんじゃないの。俺たちはUFOを探しているわけじゃないんだ。実在する人間が残してきた足跡を集めてるだけなんだからな。考えなきゃならねえことなんて何にも無いんだぞ。いいな」

 パソコン、電話、無線などを駆使し、様々な帳票やメモが飛び交う広報部の一隅で、数人が額を突き合わせて白熱した議論を展開している。その中央には、あの白い直方体がホログラムとなってくるくると回っている。

「構成物は、ボール紙と木工ボンド、それに綿、石膏などです。別に変わった点は無いですね」

「放射線も関知されません。ただ微弱な電磁波のようなものと、それに伴う磁場の変化を関知していますが、因果関係は不分明です」

「オブジェの周辺で気圧が低下しています。温度は周囲よりも2度程低くなっています。それと、X線を透過しません。遮蔽物は無いはずなんですが…」

「物質自体の密度が異様に高い数値を示しています。ありえません」

「脳波形に反応があります。ひじょうに微弱なものですが、ボス達のものとは別の波形ですね」


 彼らはこうした全ての情報を逐一ボスへフィードバックしている。ボスは営業二課にいながらにして、広報部にいるのと同じ情報を共有できる。そこから、ボスは次の手を考案していくのである。

「これは、三日程前から、こちらの未伊名クンが担当していたもののようですね」

「私の指示じゃない。これは誰からの依頼なんだね」

 と室田はいらいらした声でたずねた。口を挟む隙がいままでなく、ならばと静観を決めこんでいたとはいえ、この社での立場をはっきりとさせるための究明は、自分でなければできないと思っていたのだ。お誂え向きにこの社のゴシップ屋が同席してくれているのだから、このときを逃して、なんでライバルを蹴落とすことができようか。

 工辞基は唇をへの字に曲げて、机の上で組み合わせた拳をいらいらと上下させていたが、ボスと室田の注視を受けて仕方なく話し始めた。

「これは、さる依頼人からの建築モデルの依頼でね。別段大きな仕事じゃあない。事務所ビルの改装計画なんだが、モデルを作ってプレゼンをしたほうが分かりやすいだろうという事で、取り合えず原型を作らせていたところにすぎない。これは、業務内容0322−Q23として申請済のもので、今回の騒動とは無関係なものだよ」

「関係あるかどうかは問題じゃあないんですよ」

 とボスが呟き、

「そんな単純なものかね」

 と隊毛が鋭く言った。

「あなた、これについては随分詳しそうですね。一つ説明していただけませんか」

 とボスは質問の矛先を隊毛に向ける。工辞基は何かいいかけて椅子から腰を浮かせたが、何も言わずに椅子に腰を下ろした。室田はそんな工辞基の慌てぶりを見て、有頂天になった。

「今度の一件に君が関わっているらしい、というのは我々の調べでも問題になっているんだよ。だいたい君はイフガメにいなけりゃならない筈の人間じゃあないか。それが、女連れで帰社なさるとは、何かよほど重大な要件がおありなのでしょうなぁ」

 だが、工辞基は室田のイヤミを、閉じた瞼をぴくりとも動かすことなく、あっさりと無視した。

「では、隊毛さん。一つあなたのお考えを聞かせていただきましょうか」

 とボス。

 隊毛は唇を少しだけ横に広げてから、サングラスを少し直して話始める。

「工辞基我陣君の背景については一口には語れない紆余曲折があり、私はその一部を知るにすぎない。しかし、それは長い話になるので割愛するとして、このオブジェクトは、カンナビと呼ばれる一種のヒトガタの特徴を備えている。カンナビとは一般的には人の形をしており、呪術でヨリシロとして使用される。つまり、代替物をもって実物に何らかの働きかけをする儀式に使用されるものだ。無論、空想技術体系でも取り上げられており、出典はそのあたりだと思うが」

「で、あなたはこれが何の代替物だとお考えですか?」

 とボスが質問した。隊毛はサングラスの奥からじっとオブジェを凝視していたが、ふっと緊張を解いて応えた。

「隠された物は暴いてみなければ本当の所は分からないが、どうやら、このタイラカナル商事そのものをかたどっているようだ」

「会社を? またどうしてそんなものを? だいたいそんな呪術なんてもんを業務だと偽って報告する事そのものが社に対する裏切り行為じゃないか。隊毛さんからうかがって始めて知ったが、君はそもそも名前や職歴を偽ってこの会社に入社してきたんじゃないのかね。これは重大なる問題だよ君」

 室田が一気に畳み込んできた。だが工辞基は瞑目したままである。室田はこの件で徹底的に工辞基を糾弾する十分な材料が揃ったものと確信した。そしてさらなる弾劾の言葉を浴びせようとしたが、ボスと隊毛の両方から睨まれると、自らを納得させるように二三度頷いて、身を引いた。ボスは改めて隊毛の方に向き直り、よく通る声で話始めた。

「隊毛さん。あなたがそう仰るならおそらくその通りなんでしょう。かつてあなたとこちらの工辞基我陣君とがイフガメで面識があったという事はこちらも確認いたしました。ところで、順序が前後いたしましたが、私の立場をご説明しておきますと、まずこの奇妙な状況を解消したいというのが第一の希望で、今、それが出来る立場にいるのが私以外に無いらしいため、まぁ、これは事実上という事ですけれども、僣越ながら自主的に、こうして首を突っ込んでいるわけですが、今のあなたのお話を事実だとして、それが今のこのタイラカナル商事に起こっている状況に、どのように関係しているのか、それについてお考えはありますか?」

 隊毛は椅子に背中をもたれさせ、煙草をくゆらせた。

「今こちらで起こっている事に、私はあまり興味を抱いていない。ただ、この社で私の知り合いが二名、行方不明になり、それがこの馬鹿げた騒動に巻き込まれた為だとしたら、関わらないわけにはいかない。それが、かつてのコロニーに根ざしたものだとしたら、なおさら、傍観者を装うわけにはいかないというわけだね」

 ボスは微笑んで頷く。

「しかし、ここにこのカムナビを置いたのは、工辞基君の意思なのでね。何を意図しているのかを私が言い当てるのは難しい。本人に聞くのが一番だと思うが」

 隊毛はそういうと、義務は果たしたとでもいうように、椅子に体を預けてプカプカと煙草を吸った。ボスはうんうんと頷き、工辞基我陣の方に向き直って尋ねた。

「工辞基さん。私は今言ったような理由でこのような討論の司会に納まっているわけですが、無論、警察官などであるはずもなく、今は広報部の一員という立場も捨ててですね、事態の収拾に向かう手掛かりを探している犬に過ぎません。実は、このオブジェの解明から手をつけたのは間違いだったもしれないと今後悔しているというのが率直なところですが、始めてしまったものは終いまで済ませなければなりせん。隊毛氏のいうように、これはカムナビと呼ばれるもので間違いは無いのですか?」

 工辞基はひじょうに言いにくそうに体を前後に揺すっていたが、ボスが忍耐強く待っているとようやく口を開いた。

「依頼があったというのは本当で、私は忠実にそれを作り上げるよう未伊名君に指示をした。何に使われるものなのかは知らない」

「なるほど。で、納期はいつなんです?」

「納期は無い。」

「納期が無い?」

「そんな馬鹿な話があるもんか」

 と室田がかみつく。が、その声は虚しく天井の消音ボードに吸い込まれていく。

「では、依頼してきたのは誰ですか? 無論、業務報告を見れば分かるものだが、あなたの口から聞かせていただきたい」

 この時点でボスは、その依頼人が一週間前に「画廊頭首 取締役 薩它竝馬」という人物だという事を広報部からの報告で知っていた。そして、それが書類作成上の事だけで実際にはもっと違う駆け引きなり、やり取りがあったはずだと確信している。

 工辞基は、腕を組んで、またも黙り込んだ。隊毛はその様子とは無関係に煙草をくゆらしており、室田は社の上層部へどのような書類を提出すれば一番効果的に工辞基を抹殺できるのかを考えていた。ボスは机に肘を立て、リラックスした様子で工辞基を見ており、その隣で或日野が事の成り行きが不安でたまらないとでもいうように、きょろきょろとしている。沈黙は実際には2分か3分といったところだっただろう。だが、その間室内には重々しい静寂がのしかかっていて、呼吸するのすら躊躇われる程であった。

「話してはいただけないようですね。それでは、私からお話いたします。間違いがあったら訂正してください」

 ボスはそういって、考えを纏めるように二三度頭を振ってから話始めた。

「私がこれから話すことは、通常ならば私の知りえない範囲の内容を含んでおりますが、それについては詮索しないでいただくとしてですね、」

 ボスはそういって懐からマイクロカセットのような機材を取り出した。

「これは、ロータリー近くの喫茶店「間眄真」の防犯設備の音声データをダビングしたもので、7日前の午後2時14分から32分までのある会話の一部です」

 工辞基の顔色が変わった。一瞬、ソファーに横たわる「キメト」に素早く視線を走らせた工辞基は、しかし努めて平静を装い居住まいを正した。キメトはソファーにゆったりと凭れかけられていて、腹部がゆるやかに上下しているのが見えた。ボスはその瞬間的な挙動をゆったりと見届けてから、

「これを皆さんに聞いていただいてもよろしいですか? 工辞基さん」

 と言った。

「それが、この事態の収拾のために必要だというのなら」

 工辞基の声は冷静だった。ボスは少し感じ入ったような顔になったが、再生ボタンを押すのに躊躇いは無かった。音声は非常に聞き取りにくかった。


(再生音声)

「先生は大いなる野望を抱いている。もはや我々の知っている先生では無いんだ」

「しかし、それで何故今になってうちが、洗礼をうけなければならないんです。ここまで作ってきた私たちの生活を、何故今…」

「先生には時間の観念は通用しない。安定も求めてはいない。絶え間ない破壊の連続。物に対する嫌悪というか、粛清への意思というか」

「いづれにせよ、手をこまねいていても破滅するだけだということですか」

「それがごく自然な帰結だろう」


 ボスはここで停止ボタンを押して、工辞基にたずねた。

「ここで話しているのが依頼人ですね。名前は薩它竝馬。しかし、実際の名前はそうではないのでしょう」

「分かっているのなら、聞かなくてもよいだろう。君はこんな回りくどい仕事をする男では無いはずではないか」

 工辞基は負け惜しみともとれる事を言って、手をだらりと両脇に下ろした。逆に身を乗り出してきたのは隊毛頭象だ。

「また懐かしい男の声を聞いたな。何をしようとしていた? 同窓会でも始めようというのか」

「隊毛さん。私はもうただの配達屋ではないんですよ」

 工辞基は、始めてはっきりとした声で言った。ボスがこの部屋に入ってくる前にもこんなやりとりが交わされていた。二人は睨み合った。その間にボスが口をはさむ。

「まあまあ。今は昔のことをほじくりだしていても仕様がない。いや仕様がないこともないが、論点だけは外さないようにしなければいけないのではないですか。確かに、関係者を調べていくと、どうしてもあのコロニーに繋がっていく。だがそれだけではない。もう一つ、ンリドルホスピタルの関連も看過できない。が、こちらは副次的なものだと私は思います。だが院長の遺体がこの社内で見つかっているという事実もある以上、軽視は出来ないわけだ。今、うかがいたいのは、この会話の中で「先生」が「タイラカナル商事」に「洗礼」を与えようとしており、それは何もしないでおいても「生活」が「破滅」するほど大変なものなのだという点です。思うに、このカンナビは、その「手をこまねかない」ための方策だったと思うのだが、現に、社員数百名の失踪という以上自体を招いている以上、効果は無かった、かもしくは限定的だったと結論するのが正しいと思うのだが、いかがですか?」

 工辞基は、顔の形が変わるほど激しく奥歯を噛みしめた。先ほど隊毛が指摘したことをもう一度ボスに指摘されたのである。それは痛いところだったのだ。そこへ、隊毛が追い打ちをかける。

「仕事が甘いのだ。だから付け入る隙間が生じた。君が昨日イフガメへ退いていた理由は知らないが、君達が最後の砦としたのがこのカムナビだったのだとしたら、君は随分と手抜かりをしたよ。ましてや、君が何と戦っているのかを知っていたのだとしたら尚更この手抜かりは命取りだ」

 隊毛は煙草を机に押しつけ、静かで、それでいて胸を貫き通すような冷たい声で続けた。

「君達は一体、誰と戦っているつもりなのだね? 私たちか。それとも釜名見煙か?」

「釜名見煙!」

 室田が思わず声を上げた。

 ついさっきの二人の会話に感じていた、釈然としない何か。それは「釜名見煙」の存在についてだった。応接室での緊迫した会談の最中、隊毛がごく当たり前のように言った「釜名見不在説」を、室田は必死で受け入れたのであった。それは世界に対する詐欺の片棒を担ぐという決意でもあった。存在しない釜名見煙の新作を中心とした様々な催し物の企画は、関係各所に手配をかけており今更撤回するのは莫大な違約金を伴うところまで進んでいるのである。

「た、隊毛さん。今夜のパーティーは、だ、だい丈夫なんですか」

 室田はひそひそと隊毛に耳打ちをした。だが隊毛はそんな室田をハエのように手で払いのけた。その横顔を不安の面持ちで見上げた室田の目に、つり上がった薄い唇が見えた。ボスはそんな寸劇に気をとられてなんかいない、という顔をして、工辞基を見た。工辞基は、胸のうちで葛藤をしているようだったが、やがて大きく息をはくと、

「このカムナビは、結界としてここに設置させたものだったが、指摘の通り、もはや意味を失ったといえるでしょう」

 と呟き、ゆっくりと立ち上がった。そして、カムナビに手を伸ばし、ぐるぐる巻きの包帯状のものを引き剥がし始めたのだ。

「どうしようというんです?」

 ボスは少し慌ててそう尋ねた。引き剥がされる白い帯からはすえたような匂いが洩れてくる。静けさの中心だったカムナビから、禍々しさが漂ってくる。

「失敗を認めるのは勇気のいることですが、自棄になってはいけない」

 ボスは工辞基の手元を見つめながら、言った。ボスは「危険だ」と思っていた。何がどう危険なのかは分からない。しかし、ここでこの覆いを取りのけるなどということは、どう考えても似つかわしくないと思った。だが、工辞基は憑かれたように、帯を引っ張り続け、腐臭に塗れた白い帯が、机上に渦をまいて積み重なっていった。

「何が出てくるのかね」

 隊毛が涼しげな顔で言った。室田は工辞基の気が違ったのではないかと思った。だが好敵手が減ったとは思えなかった。それよりも、得体の知れぬ者への恐怖が先にたっていた。そして或日野は、目の前でどんどん嵩を増していく帯の隙間から、じっとカムナビだけを凝視していた。

 何十メートルの帯が使われていたのだろう。互いを見るのに椅子から伸び上がらなければならない程の白いウネウネした山は、くるくると回転するカムナビの周囲で渦を巻いた。最後のひと巻きと思われる帯を引ききった時、工辞基は勢いあまって椅子ごと倒れてしまった。

 その瞬間、つい先程まで工辞基の首があったあたりを目掛けて白い輪が横様に突っ切っていった。それはボスの鼻先と、隊毛の耳朶と、或日野の耳を掠めて大きく行き過ぎると、そのまま天井付近へ登っていった。見上げるとそこには、大きな丸い白い輪がユラユラと揺れていた。

 「キャー!」という悲鳴がソファーから起こる。気絶していた瑞名が、その風きり音に怯えて発した叫びだ。工辞基は床からはねおき「キメト!」と叫んだ。正体無くソファーに横たわっていたはずのキメトがウサギのように飛び出し、工辞基と共に営業二課を飛び出していった。全ては一瞬の出来事であった。

 隊毛は、いまいましげに目の前の白い帯を抱えて、机の上から引っ張り落とそうとした。だが帯はそこいらじゅうで絡まっていて、なかなか机から引き剥がすことが出来なかった。或日野は、ソファーの瑞名のところで飛んでいって、なだめていた。ボスは隊毛と一緒になって机の上から帯を除去しようと躍起になった。二人で引っ張り合いながら、やっとの思いで、視界を確保した時、机上には思いも寄らないものが転がっていたのである。それは、でっぷりと太った男の体と、大量の毛だった。男は一目でこと切れているのと知れた。何よりも目を引くには、その男が来ている服だった。没個性的な背広の上下は明らかに小さすぎ、袖口から見えるうでは袖の二倍はあってうっ血している。クッションを縄で締め上げたような、幼稚園児用のTシャツを気功術で着る中国人のような、その痛々しい姿からみて、絶対に普通の着方ではこの背広を着られるはずはがない、ということがはっきりとしていた。さらに深々と引き下げられた帽子のサイズも、この男の握りこぶし二つ分ほどの大きさしかなく、どう考えても、頭蓋骨が破砕されているとしか思われなかった。さらに、そこいらじゅうに張り付いている毛は、人の髪の毛のようにしか見えない。

 ボスは突然の展開に呆然としていた。そして隊毛はハンカチで鼻を押さえて、「醜悪だな」とつぶやいた。その背後の室田はこみあげてくるものを押しとどめることに必死だ。

 だが、こんな時にも、或日野だけはまったく冷静でいるように見えた。彼はつかつかとテーブルに近寄り、じっとテーブルの上のものを見ていたが、

「これは、私の服。私の髪です」

と、呟いた。

「この男は?」

 ボスが勢い込んで質問した。

「僕はこの男を見たことがあります。この男はあの夜、あの場所にいた男です」

 或日野は呟き続けた。

「だから、誰なのか分かりますか?」

 ボスが怒鳴った。だが、或日野は、その質問とは関係なく呟いているだけだった。

「この男は、殺されました。私が殺したのではありません。この男は。本当です。私はただその場に居合わせてしまっただけです」

「だから、誰なんだ」

 ボスは或日野の両肩をつかんで、激しく揺さぶった。

「この男の名前は、骸骨煎藻。キオラ画廊の主宰で、昨夜のパーティーの司会をしていた男です」

 隊毛が舌打ちをした。ボスは室田にむかって、地下駐車場にいる警官を呼んでくるように命令した。室田はこの部屋から一時離れられると分かって駆け出していった。

「一体、どういう意味があるというのだ」

 ボスは思わずつぶやいた。

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