第2話
「はぁいおはよう……」
8時25分、2年C組。結夢も所属しているこのクラスの担任・古典教師の
「今日も衣繍は休んで……ないね。うん。
……おおいいい衣繍ィ!?」
「失礼じゃないですか先生、私だって生徒ですよ、一応」
いる事を驚かれて心外だったが、まだこれは想定の範疇。この後ワルが私をいじったり、教室に別のワルが乗り込んできたりするのもまだまだ想定出来ていた。
「こほん。じゃあ皆に、先生から素敵な素敵なプレゼント。
明日テストやりまーす」
「「「えええええええええ!!!!!」」」
ザ地獄。誰もが嫌がるプレゼントだ。
結夢の隣の席で、クラス1のワルが、
「ねぇ紅胆ォ、テストとかマ?脳外科紹介するよ?ハハハッww」
コイツに逆らうとこのクラスてはまず生きていけなくなる。この高校の暗黙の了解であり非成文の校則が、結夢の発言権を縛った。
理事長の娘だからって調子に乗って……。
金で得た地位はそんなに楽しいのか?
結夢は寝たフリをしながら内心毒づく。
「……いい加減疲れるわ」
「は?」
紅胆先生がぼそっと言った言葉は、結夢の耳だけにはっきりと届いた。
「お前達の面倒看るの、もう疲れた」
「看てもらった覚えないんだけどww」
「……【このクラスは3分後に壊れる】。
それじゃ残りの授業は自習だ」
結夢は声色や気配が、いつものそれとは明らかに違うという事を聞き分けていた。
と、すんなり教室から出て行くかに思われた紅胆先生は退室直前、やはりぼそっと呟いた。
「予言は命と引き換えに必中する。
さようなら、馬鹿な子供達」
予言。そのフレーズが耳に飛び込んで来て、結夢は最悪の未来を想像してしまった。
そうして教室を飛び出しトイレへと駆け込み、個室の中で事務所にいるだろう螭子にメールを送った。
『第二高校の二C、担任が危険。
妖怪の可能性あり、予言を残す』
端的にしか告げなかったが、探偵さんは恐らくこれだけでも理解してくれるだろう。
ひとまず安心かな、と思ったその時だった。
「衣繍さん、そこの個室にいるんでしょ」
聞き馴染みのある声が、静かながらもはっきりと私の名前を呼んだのである。
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